
日本のレンタル市場は、建設機械やイベント用品といった従来の分野に加え、ファッション、家電、家具など、その領域を急速に拡大しています。
しかし、競争が激化する中で「どのように収益を上げ、他社と差別化を図るか」という課題に直面している事業者様も多いのではないでしょうか。
そのヒントは、海外のユニークなレンタルビジネスモデルに隠されています。
本記事では、海外で成功を収めている先進的なレンタルビジネスの収益モデルを5つ厳選し、日本市場でどのように応用できるかを徹底解説します。
海外で注目されるユニークなレンタルビジネスの収益モデル5選
早速、海外で成功している5つのユニークな収益モデルを見ていきましょう。
1. 【サブスクリプション型】特定アイテムを月額で使い放題
サブスクリプション(サブスク)型は、顧客が月額料金を支払うことで、期間中サービスや商品を自由に利用できるモデルです。単発のレンタルではなく、継続的な関係を顧客と築くことで、安定した収益が見込めます。
海外の成功事例:Rent the Runway(レント・ザ・ランウェイ)
アメリカ発のRent the Runwayは、デザイナーズブランドの洋服やアクセサリーを月額でレンタルできるサービスです。「所有から利用へ」という価値観の変化を捉え、特にファッション感度の高い女性層から絶大な支持を得ています。
日本市場への応用アイデア
- 高級腕時計・バッグ: 購入にはハードルが高い高級ブランド品を、月額で気軽に試せるサービス。
- ベビー用品: 使用期間が短いベビーカーやベビーベッドなどを、必要な期間だけ提供するサブスク。
- アート作品: オフィスや自宅に飾るアートを、季節ごとに入れ替えられるサービス。
ポイント: 顧客が「買うほどではないが、使ってみたい」と感じるカテゴリーで特に有効です。
2. 【P2P(個人間)型】プラットフォームで遊休資産を収益化
P2P(Peer-to-Peer)型は、個人が所有しているモノ(遊休資産)を、他の個人に貸し出すことで収益を得るモデルです。プラットフォーム事業者は、貸主と借主をマッチングさせ、手数料を得ます。
海外の成功事例:Turo(テュロ)
Turoは、「車のAirbnb」とも呼ばれる個人間カーシェアリングサービスです。
使っていない時間帯に自分の車を貸し出すことで、所有者は維持費を賄い、収益を得ることができます。
借主は、一般的なレンタカーよりも多様な車種を、より安価に借りられるメリットがあります。
日本市場への応用アイデア
- 専門機材・工具: DIY用の電動工具や、キャンプ用の本格的なアウトドアグッズなど、使用頻度の低い専門的なアイテム。
- 駐車場・空きスペース: 自宅の空いている駐車場や、イベント用の空きスペースのマッチング。
- 楽器: 高価な楽器を所有している個人と、練習や短期的な利用をしたい人を繋ぐプラットフォーム。
ポイント: 貸主と借主双方の信頼性を担保する仕組み(レビュー機能、保険制度)が成功の鍵となります。
3. 【レンタル to オウン型】試してから購入を決定
「Rent-to-Own(レンタル・トゥ・オウン)」は、一定期間レンタルで試した後、気に入ればそのまま商品を購入できるモデルです。購入前に商品を実際に使ってみたいという消費者のニーズに応えることができます。購入のハードルを下げる方法として大変有用で、実際に「お試しレンタル後の購入率が45%」という商品もあり、購入訴求効果の高い販売方法になります。
弊社が提供するレンタル事業者用ECパッケージ「レンタルGO」では、お試しレンタル後に購入できる「そのまま購入機能」があり、こちらを利用して購入率の高いレンタル販売を行うことができます。
海外の成功事例:Grover(グローバー)
ドイツのGroverは、最新のスマートフォンやPC、ドローンといったガジェット専門のレンタルサービスです。ユーザーは月額料金で最新ガジェットを試し、レンタル期間終了後に「返却」「継続レンタル」「購入」の選択が可能です。購入する場合は、それまでに支払ったレンタル料金の一部が購入代金に充当されます。
日本市場への応用アイデア
- 最新家電: 高機能な調理家電や掃除ロボットなど、実際の使い心地を試したい商品。
- フィットネス機器: 大型で高価なフィットネスバイクやランニングマシン。
- e-bike(電動アシスト自転車): 購入前に乗り心地やバッテリーの持ちを確かめたいニーズに対応。
ポイント: 高額で、スペックだけでは判断が難しい商品の購入ハードルを下げることができます。
4. 【成果報酬型(従量課金)】使った分だけ支払う
成果報酬型は、レンタル品の利用時間や利用量に応じて料金が発生するモデルです。特にBtoBの領域で導入が進んでおり、顧客は初期投資を抑えつつ、必要な時に必要な分だけ設備を利用できます。
海外の成功事例:建設機械の稼働時間課金
海外の大手建設機械メーカーでは、GPSやセンサーを建機に搭載し、実際の稼働時間に基づいてレンタル料金を請求するモデルを導入しています。これにより、顧客は機械が稼働していない間の無駄なコストを削減できます。
日本市場への応用アイデア
対象分野 | 具体的なアイデア |
農業機械 | トラクターやコンバインの利用時間や耕作面積に応じて課金する。 |
医療機器 | 高額な検査機器の使用回数や時間に応じて料金を設定する。 |
業務用3Dプリンター | 造形時間や使用した材料の量に応じて課金する。 |
ポイント: IoT技術を活用して利用状況を正確にトラッキングすることが不可欠です。
5. 【プラットフォーム特化型】ニッチな需要を繋ぐ
特定のカテゴリーに特化し、その分野の貸主と借主を繋ぐことに特化したプラットフォームモデルです。ニッチな市場であっても、専門性を高めることで熱心なユーザーコミュニティを形成し、成功を収めることができます。
海外の成功事例:Fat Llama(ファット・ラマ)
Fat Llamaは、ドローンやカメラ機材、DJ機器、工具など、あらゆるモノを個人間で貸し借りできるイギリス発のプラットフォームです。「Buy things you’ll barely use?(ほとんど使わないものを買うの?)」というキャッチコピーで、必要なものを必要な時だけ借りるライフスタイルを提案しています。
日本市場への応用アイデア
- アウトドア用品専門: テントやランタン、調理器具など、キャンプや登山に特化したプラットフォーム。
- パーティーグッズ専門: 大型の音響機材や照明、コスチュームなど、イベント用のアイテムに特化。
- 撮影機材専門: プロ・アマ問わず、カメラマンが必要とする特殊なレンズや照明機材のマッチング。
ポイント: 特定のコミュニティに深くリーチし、その分野の「あったらいいな」を解決することが重要です。
日本市場で成功するための3つの重要ポイント
海外の成功モデルをそのまま日本に持ち込むだけでは、成功は難しいかもしれません。以下の3つのポイントを意識することが重要です。
1. 日本の文化や消費者行動への最適化(ローカライズ)
日本人は商品を丁寧に扱う文化があり、新品同様の状態を好む傾向があります。そのため、レンタル品の品質管理やメンテナンス体制を徹底することが、海外以上に重要になります。
2. 法規制や保険制度の確認
特にP2Pモデルの場合、事業を始める前に日本の法規制(古物営業法など)を十分に確認する必要があります。また、万が一の事故や破損に備え、適切な保険に加入することは、ユーザーに安心感を与える上で不可欠です。
3. 直感的で使いやすいプラットフォームの構築
貸主も借主も、スマートフォンアプリやウェブサイトを通じて簡単に手続きが完結できる、直感的でストレスのないUI/UX設計が求められます。予約から決済、返却までの一連の流れをスムーズにすることが、リピート利用に繋がります。
まとめ
今回は、海外のレンタルビジネスから学ぶ、日本市場でも応用可能な5つのユニークな収益モデルをご紹介しました。
- サブスクリプション型: 安定収益モデル
- P2P型: 遊休資産を活用したシェアリングモデル
- レンタル to オウン型: 購入のハードルを下げるお試し体験モデル
- 成果報酬型: BtoBで有効な従量課金モデル
- プラットフォーム特化型: ニッチな需要を捉えるコミュニティモデル
これらのモデルは、単独で導入するだけでなく、複数を組み合わせることで、さらに強力なビジネスモデルを構築できる可能性があります。ぜひ、自社の強みやターゲット顧客に合わせて、これらのアイデアをビジネスのヒントにしてみてください。
弊社が提供するレンタル事業者用ECパッケージ「レンタルGO」では、お試しレンタル後に購入できる「そのまま購入機能」があります。お試しレンタルを検討される際は、ぜひ弊社の「レンタルGO」もご検討ください。
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