顧客満足度調査(NPS)の活用法|サービスの改善点を見つけ、解約率を下げる

レンタル事業におけるNPS(ネット・プロモーター・スコア)の重要性

レンタル事業やサブスクリプション型のビジネスにおいて、最も恐れるべき事態は「解約(チャーン)」です。特にレンタルビジネスは、一度の利用だけでなく、リピート利用や長期契約によって利益が積み上がるモデルであるため、顧客が「二度と使わない」と判断することは、将来の利益をすべて失うことを意味します。

そこで重要になる指標がNPS(Net Promoter Score:ネット・プロモーター・スコア)です。

従来の「顧客満足度調査」が「現時点での満足」を聞くのに対し、NPSは「他者に推奨したいか(未来の行動)」を問うため、企業の成長率や収益性と強い相関があることが実証されています。

目次

    NPSとは?算出方法と定義

    NPSは、米国のコンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーによって提唱された指標です。測定方法は非常にシンプルで、顧客に対して以下の質問を行います。

    「このサービス(商品)を親しい友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?0〜10点で点数をつけてください」

    回答された点数に基づき、顧客を以下の3つのグループに分類します。

    分類点数特徴
    推奨者(Promoters)9〜10点ロイヤリティが高く、リピート購入や他者への紹介を積極的に行う層。
    中立者(Passives)7〜8点サービスには満足しているが、競合他社に乗り換える可能性もある層。
    批判者(Detractors)0〜6点不満を持っており、悪評を広める恐れや、二度と利用しない可能性が高い層。

    NPSの計算式:
    推奨者の割合(%) - 批判者の割合(%) = NPS

    例えば、推奨者が40%、批判者が20%の場合、NPSは「+20」となります。

    参照:NPS®(ネット・プロモーター・スコア®)とは? – Bain & Company

    なぜレンタル事業でNPSが解約率改善に効くのか

    物販(売り切り型)と異なり、レンタル事業には「返却」という独自のプロセスが存在します。実は、顧客の不満はこの「利用中」や「返却時」に発生しやすい傾向にあります。

    • 届いた商品が汚れていた(検品不備)
    • 使い方がわからず困った(サポート不足)
    • 返送用の伝票を書くのが面倒だった(返却フローの不備)

    これらの不満は、直接クレームとして届くことは稀です。多くの顧客は「何も言わずに去る(サイレント・チャーン)」を選択します。

    NPS調査を実施することで、こうした「声なき不満」を数値化し、具体的な改善ポイントを洗い出すことが可能になります。

    レンタル事業におけるNPS活用の3ステップ

    1. 調査のタイミングを最適化する

    レンタル事業におけるNPS調査のベストタイミングは、「返却手続きが完了した直後」です。

    注文直後では「期待値」しか測定できません。商品を利用し、返却の手間まで体験した直後こそが、顧客がサービス全体の価値を判断する瞬間です。自動送信メール(ステップメール)などを活用し、返却確認メールにアンケートリンクを設置するのが効果的です。

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    2. 定量データと定性コメントを紐付ける

    スコア(点数)の変動だけを追っても改善には繋がりません。「なぜその点数をつけたのか」というフリーコメント(定性データ)を必ず収集し、以下のようにカテゴリ分けして分析します。

    • 商品品質への不満:「傷がついていた」「期待より古かった」
      → メンテナンス・検品体制の見直し
    • 配送・コストへの不満:「送料が高かった」「返送が面倒」
      → 配送業者の選定、送料設定の見直し
    • 使い勝手への不満:「予約画面がわかりにくい」「延長方法が不明」
      → サイトUI/UX、システムの見直し

    例えば、送料や返却の手間に関する不満が多い場合は、往復送料の設定や表示方法に問題があるかもしれません。顧客にとって納得感のある料金設計が必要です。

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    3. オペレーションを改善する(ループを回す)

    分析結果をもとに、具体的な業務改善を行います。
    特にレンタル事業で批判者(0〜6点)を生みやすいのが「届いた商品の状態」「予約のしにくさ」です。

    どんなにサイトが綺麗でも、届いた商品が汚れていたり、借りたい日に在庫があるかわからなかったりすれば、NPSは急落します。返却された商品の検品フローを見直し、次のお客様へ「新品同様の体験」を提供できる体制を整えましょう。

    「使いにくい」を解消しNPSを向上させる「レンタルGO」

    NPS調査で「Webサイトが使いにくい」「いつ空いているかわからない」という声が挙がった場合、それはシステムによる解決が必要です。

    Shopifyアプリ「レンタルGO」を導入すれば、レンタル特有の複雑な在庫管理や予約受付を自動化し、顧客満足度の底上げを図ることが可能です。

    • カレンダー予約機能: 顧客が視覚的に空き状況を確認し、スムーズに期間選択が可能。
    • 在庫の自動管理: ダブルブッキング(過剰受注)を抑制し、お客様に迷惑をかけるリスクを回避。
    • 配送・返却期間の自動ブロック: 商品のメンテナンス期間(リードタイム)を自動で確保できるため、万全な状態で次の貸出が可能。

    システムによる利便性向上は、お客様のストレスを減らすだけでなく、運営側のミスも減らします。結果として、安定したサービス提供が可能になり、NPSの向上、ひいては解約率の低下に繋がります。

    まとめ:声を聞き、サービスを磨き続ける

    NPSは単なる「点数」ではありません。顧客からの「通知表」であり、事業を長く続けるための改善のヒントの宝庫です。

    レンタル事業は、顧客との関係が続く限り収益が発生するビジネスモデルです。NPSを活用して顧客の声を拾い上げ、システムの力でオペレーションを最適化していくことが、成功への最短ルートとなります。

    Shopifyでレンタル事業の顧客満足度を高めるなら、機能豊富なアプリの導入がおすすめです。

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    この記事の監修者

    株式会社ミライガタリ代表取締役 上岡裕
    多数のレンタル事業者のECサイト構築を手がけ、業界に特化した豊富な実績を持つ。EC構築、アプリ構築の知見を土台に商工会議所等の相談員講師として活動し、多くの事業者のサポートを行う。事業のDX化による経営改善が得意領域。
    レンタル事業の社会的、経営的強さに魅せられEC構築サービス『レンタルGO』発案、開発。自身が代用を務める株式会社ミライガタリにてサービスを提供中。
    都城工業高等専門学校卒。1児の父。