「コト消費」を掴め!体験価値を提供するレンタルサービスの成功事例分析

「コト消費」を掴め!体験価値を提供するレンタルサービスの成功事例分析

消費者の価値観が「所有(モノ)」から「体験(コト)」へと大きくシフトする現代。
この「コト消費」の潮流は、レンタルビジネスにとって大きなチャンスです。

しかし、単にモノを貸し出すだけでは顧客の心は掴めません。成功の鍵は、利用者が得られる「体験価値」をいかに高めるかにかかっています。

この記事では、なぜ今コト消費が重要なのかを解説すると共に、急成長を遂げるレンタルサービスの成功事例を分析します。

目次

    なぜ今「コト消費」が重要なのか?

    近年、消費者の価値観は大きく変化しています。
    商品を「所有」することに価値を見出す「モノ消費」から、商品やサービスを通じて得られる「体験」に価値を見出す「コト消費」へと、市場のトレンドは明確にシフトしています。

    特にSNSの普及により、人々は自らの体験を共有し、共感を求めるようになりました。
    「インスタ映え」するような特別な体験や、自分のライフスタイルを豊かにする経験そのものが、新たな消費の対象となっているのです。

    モノで溢れる時代の価値観の変化

    現代は、あらゆるモノが簡単に手に入る時代です。

    しかし、モノで溢れる一方で、多くの人が「所有することの負担」を感じ始めています。

    • 保管場所の確保
    • メンテナンスの手間
    • 購入にかかる高額な費用

    こうした背景から、必要な時に必要なモノだけを利用するシェアリングエコノミーの考え方が広まり、レンタルサービスへの需要が急速に高まっています。

    消費者は、モノを所有する代わりに、それを利用して得られる「体験」そのものを求めているのです。

    シェアリングエコノミーについてはこちらの記事もぜひご覧ください
    「所有から利用へ」は本当か?シェアリングエコノミーがレンタル業界に与える影響と生き残り戦略

    特にZ世代に響く「体験価値」

    1990年代後半から2010年代序盤に生まれた「Z世代」は、もはや消費の中心となりつつあります。
    彼らはデジタルネイティブであり、価値観も従来の世代とは大きく異なります。

    Z世代の消費行動の特徴は、「共感」「ストーリー性」を重視する点にあります。

    単に有名なブランドだからという理由で選ぶのではなく、その商品やサービスが持つ背景や、それを利用することで得られる特別な体験に価値を見出します。

    高価な商品を一度購入するよりも、様々な商品を試したり、特別な瞬間のためにレンタルしたりすることに積極的なのです。

    このZ世代の価値観を的確に捉えることが、今後のビジネス成功の鍵と言えるでしょう。

    「コト消費」を捉えるレンタルサービスの成功事例3選

    では、実際にどのようなレンタルサービスが「コト消費」の需要を掴み、成功を収めているのでしょうか。ここでは、特徴的な3つの事例をご紹介します。

    事例1:特別な瞬間を切り撮る「カメラ・ガジェットレンタル」

    GOOPASS(グーパス)

    GOOPASSは、月額定額制でカメラやレンズをレンタルできるサブスクリプションサービスです。
    ユーザーは購入すれば数十万円もするような高級な機材を気軽に試すことができます。

    提供する体験価値:

    • 憧れの機材でプロのような写真を撮る体験:子どもの運動会や旅行など、特別なイベントで最高の写真を残したいというニーズに応えます。
    • 購入前の試用体験:高価な機材の購入失敗リスクをなくし、自分に合った機材を見つける喜びを提供します。

    事例2:手ぶらで自然を満喫する「アウトドア用品レンタル」

    hinataレンタル

    hinataレンタルは、キャンプ用品一式をセットでレンタルできるサービスです。
    初心者向けのセットからファミリー向け、冬キャンプ用まで、多様なニーズに対応したラインナップが魅力です。

    提供する体験価値:

    • 手軽にキャンプを始める体験:高価な初期投資や準備の手間をなくし、「キャンプをやってみたい」という気持ちを後押しします。
    • 純粋に自然を楽しむことに集中できる体験:用具の選定やメンテナンスから解放され、家族や友人との時間に集中できます。

    事例3:特別な日を彩る「ファッションレンタル」

    AnotherADdress(アナザーアドレス)

    AnotherADdressは、大丸松坂屋百貨店が運営するブランドファッションのサブスクリプションレンタルサービスです。
    国内外の有名ブランドの洋服を月額でレンタルでき、オフィス向けからパーティー向けまで幅広く取り揃えています。

    提供する体験価値:

    • 憧れのブランドをまとう体験:結婚式やパーティーなど、特別な日に普段は着られないような高級なドレスで自分を演出できます。
    • 新しい自分に出会う体験:様々なスタイルを試すことで、自分の新たな魅力に気づくきっかけを提供します。サステナブルな消費スタイルも実現できます。

    成功事例から学ぶ!体験価値を高める3つのポイント

    これらの成功事例には、共通するいくつかのポイントがあります。

    自社のサービスに「体験価値」を付加するためのヒントを探ってみましょう。

    ポイント1:非日常的な「特別感」を演出する

    レンタルサービスの大きな魅力は、普段はなかなか手が出せないモノを手軽に利用できる点にあります。

    高級カメラ、有名ブランドのドレス、本格的なキャンプ用品など、「特別な瞬間」を演出するための商品ラインナップは、利用者の満足度を直接的に高めます。

    ポイント2:利用者の「手間」を徹底的に省く

    成功しているサービスは、予約から返却までのプロセスが非常にスムーズです。

    オンラインで全てが完結し、準備や後片付け、メンテナンスといった「面倒な部分」を事業者が引き受けることで、利用者は「良いところ取り」で体験そのものを楽しむことができます。

    この「手軽さ」こそが、リピート利用に繋がる重要な要素です。

    ポイント3:コミュニティや学びの機会を提供する

    単にモノを貸し出すだけでなく、その使い方を教えるワークショップを開催したり、利用者同士が繋がるオンラインコミュニティを運営したりすることで、サービスはさらに魅力的になります。

    例えば、カメラのレンタルサービスであればプロカメラマンによる撮影講座、キャンプ用品であれば初心者向けの設営講習会などが考えられます。

    こうした付加価値が、顧客との長期的な関係性を築きます。

    まとめ

    消費者の価値観が「モノ」から「コト」へと移り変わる現代において、レンタルサービスは「体験価値」を提供する最適なビジネスモデルの一つです。

    成功事例に共通するのは、単なるモノの貸し借りにとどまらず、利用者に特別な体験や手軽さ、そして新たな発見の機会を提供している点です。

    この記事でご紹介した成功のポイントを参考に、ぜひあなたのビジネスにも「体験価値」という新たな視点を取り入れてみてください。

    この記事の監修者

    株式会社ミライガタリ代表取締役 上岡裕
    多数のレンタル事業者のECサイト構築を手がけ、業界に特化した豊富な実績を持つ。EC構築、アプリ構築の知見を土台に商工会議所等の相談員講師として活動し、多くの事業者のサポートを行う。事業のDX化による経営改善が得意領域。
    レンタル事業の社会的、経営的強さに魅せられEC構築サービス『レンタルGO』発案、開発。自身が代用を務める株式会社ミライガタリにてサービスを提供中。
    都城工業高等専門学校卒。1児の父。