
「高額なカメラをレンタルしたまま返却されない」「クレジットカードの不正利用で商品を騙し取られた」
近年、サブスクリプションやレンタルサービスの市場拡大とともに、事業者に対する不正利用や詐欺被害が深刻な問題となっています。
一般社団法人日本クレジット協会の調査によると、2024年のクレジットカード不正利用被害額は555億円に達し、前年の540億円(2023年)を超えて過去最悪を更新しました。特にEC(ネット通販)やレンタル事業においては、対面での確認が難しい分、より厳格なリスク管理が求められます。
本記事では、レンタル事業者が知っておくべき代表的な詐欺の手口と、Shopifyでレンタルサイトを運営する際に導入すべきセキュリティ対策、そしてアプリ「レンタルGO」を活用した管理体制の構築について解説します。
レンタル事業を脅かす主な不正利用・詐欺の手口
レンタル事業における不正利用は、単なる「延滞」とは異なり、明確な悪意を持って行われるケースが多々あります。まずは敵を知ることから始めましょう。
1. 取り込み詐欺(持ち逃げ)
最も典型的な被害が「取り込み詐欺」です。正規の手順でレンタルを申し込み、商品を受け取った後に音信不通となり、そのまま商品を着服・転売する手口です。
特にカメラ、高級時計、ブランドバッグ、最新ガジェットなど、換金性の高い商品が狙われやすい傾向にあります。
2. なりすまし・盗難カード利用
他人のクレジットカード情報や個人情報を不正に入手し、第三者になりすまして商品をレンタルする手口です。
商品が発送された後で、本来のカード持ち主から「身に覚えのない請求がある」と申し立て(チャージバック)が行われると、事業者は「商品」と「売上」の両方を失うことになります。
3. また貸し(不正転貸)
レンタルした商品を、許可なく第三者にまた貸ししたり、シェアリングエコノミーのプラットフォームに出品して収益を得たりする行為です。
商品が破損して返却された場合、契約者と実際の利用者が異なるため、責任の所在が曖昧になり、損害賠償請求が難航するケースがあります。
被害を防ぐためのセキュリティ対策3選
これらの被害を未然に防ぐためには、注文から発送までのフローで「不正を検知するフィルター」を設ける必要があります。
1. 本人確認(eKYC)の徹底と運用フローの構築
高額商品を扱う場合、メールアドレスとクレジットカード情報だけでは不十分です。しかし、Shopifyやレンタルアプリ単体では、購入者の厳密な本人確認まではカバーできません。
そこで重要になるのが、外部のeKYCツール(オンライン本人確認)とオペレーションの組み合わせです。
例えば、「注文完了後の自動メールで本人確認書類のアップロードURLを送付し、承認が完了するまでは商品を発送しない」といった運用ルールを設けることで、不正利用者が商品を手にすることを未然に防ぎます。
- 対策のポイント:システム連携に頼りすぎず、「本人確認完了=発送指示」という社内フローを徹底する。
2. クレジットカードのセキュリティ強化(3Dセキュア)
決済時にパスワード入力や生体認証を求める「3Dセキュア2.0」を導入することで、盗難カードによる不正利用を大幅に減らすことができます。
Shopifyペイメントなどの主要な決済サービスでは標準対応やオプション設定が可能ですが、必ず設定が有効になっているか確認しましょう。
3. ブラックリストの共有・活用
過去にトラブルがあった利用者の情報を社内でデータベース化し、再注文をブロックします。
また、Shopifyには「Fraud Control」や「Beacon」といった不正注文検知アプリがあり、怪しい注文(配送先とIPアドレスが離れている、短期間に大量注文など)を自動で警告・キャンセルする仕組みも活用できます。
💡 コラム:Shopifyなら「システムへの不正アクセス」も安心
レンタル事業で警戒すべきは「人」による詐欺だけではありません。「システム」へのハッキングも脅威ですが、Shopifyはその点でも安心です。
- 世界最高水準のセキュリティ:クレジットカード業界の厳格な基準「PCI DSS レベル1」を取得しており、サーバー攻撃への対策はShopifyが自動で行います。
- 二段階認証(2FA):管理画面へのログインに二段階認証を設定することで、パスワード流出による乗っ取りリスクを極限まで減らせます。
セキュリティ対策をプラットフォームに任せられる分、事業者は「レンタルGO」を使った在庫管理や顧客対応にリソースを集中できるのが大きなメリットです。
「レンタルGO」を活用した管理体制でのリスクヘッジ
セキュリティツールによる防御に加え、「商品の所在とステータスを正確に管理すること」も、不正抑止の観点から非常に重要です。
Shopifyアプリ「レンタルGO」は、予約・在庫・配送を一元管理することで、トラブルの早期発見と抑制に寄与します。
正確な配送記録で「届いていない」を防ぐ
詐欺の手口の一つに、「商品は届いているのに『届いていない』と主張して返金を求める」ケースがあります。
レンタルGOでは、注文ごとに配送状況を細かく管理でき、配送業者の追跡番号と紐づけることが可能です。
また、以下の記事で解説されているように、往復送料や配送伝票の管理フローを確立することで、利用者に「しっかり管理されている」という印象を与え、不正への心理的ハードルを高めることができます。
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往復送料を考慮した、レンタルECの最適な送料設定と表示方法
返却遅延の早期検知と自動化
「うっかり忘れ」なのか「持ち逃げの予兆」なのかを見極めるには、返却期限の管理が命です。
レンタルGOのアプリ管理画面では、全注文の返却予定日や現在のステータスを一覧で確認できます。返却後の検品・再在庫化のフローをスムーズにすることで、未返却の商品を即座に特定し、督促などのアクションへ素早く移行できます。
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返却された商品の検品・クリーニング・再在庫化のフローを高速化する秘訣
規約同意による「法的拘束力」の確保
不正利用に対する最後の砦は「法的な証拠」です。
「レンタルGO」には標準機能として、カートに追加する前に利用規約への同意(チェックボックス)を必須化する機能が備わっています。
これを確実に有効化することで、「規約を知らなかった」という言い逃れを防ぎ、万が一の法的措置や損害賠償請求を行う際の強力なエビデンス(証拠)となります。
「レンタルGO」で規約同意を確実に取得し、前述の運用フロー(eKYC)で本人確認を行う。この両輪でリスクを最小限に抑えることが重要です。
まとめ:テクノロジーで「安心」なレンタル事業を
レンタル事業における不正利用は、事業の存続に関わる重大なリスクです。
しかし、運用による本人確認や、Shopifyの不正検知システム、そして「レンタルGO」による規約同意の徹底と在庫・配送管理を組み合わせることで、そのリスクを最小限に抑えることは可能です。
「誰に」「何を」「いつまで」貸しているかをリアルタイムで把握できる体制こそが、最強のセキュリティ対策となります。
これからレンタルECを構築される方、セキュリティ強化をご検討の方は、ぜひレンタルGOの導入をご検討ください。
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