近年、アパレル業界では「所有からレンタルへ」というトレンドが加速しています。
ファッションの多様化、サステナビリティ志向の高まり、そして消費者のライフスタイルの変化がアパレルレンタル市場の拡大を後押ししています。
本記事では、アパレルのレンタル事業化で成功するためのポイントや財務面の優位性、実際の成功事例について詳しく解説します。
ファッションレンタル事業の成功事例
すでにファッションレンタル市場には成功を収めている企業がいくつも存在します。
ここでは、日本国内と海外の代表的なアパレルレンタルサービスを取り上げ、それぞれの成功要因を分析します。
エアークローゼットの成功要因
引用 https://www.air-closet.com/
「エアークローゼット（airCloset）」は、日本初の定額制ファッションレンタルサービスとして2015年に誕生しました。
現在では100万人以上の会員を抱え、国内最大級のアパレルレンタルサービスに成長しています。
▼成功要因
・プロのスタイリストが選ぶパーソナルスタイリング
→AIとスタイリストの手によるコーディネート提案が、利用者の満足度を高めています。
自分では選ばないようなアイテムに挑戦できる点が魅力です。
・データ分析による顧客ニーズの最適化
→ユーザーのフィードバックや着用データを蓄積・分析し、よりパーソナライズされたスタイリングを実現。
リピート率を向上させています。
・サブスクリプションモデルで安定収益を確保
→月額制の定額プランを採用することで、安定したキャッシュフローを確保。
長期的な事業展開が可能になっています。
Nuulyの成功要因
「Nuuly」は、アメリカの大手アパレル企業URBN（Urban Outfitters, Anthropologie, Free Peopleなど）が手がけるレンタルサービスです。
▼成功要因
・自社ブランドを活用したレンタルモデル
→自社ブランドの衣類をレンタルすることで、在庫コストを抑えながらブランドの認知度向上と販促を同時に実現。
・物流システムの最適化
→効率的な倉庫管理と配送システムにより運営コストを削減。
短期間でのアイテム回転率を高め利益を最大化。
・豊富なスタイル展開
→ユーザーがさまざまなシーンに合わせて服を選べるよう、多様なスタイルを展開。
リピート利用につながっています。
アパレルのレンタル事業化で成功するためのポイント
ファッションレンタル事業を成功させるには、ターゲット選定や差別化戦略、収益モデルの確立などが不可欠です。
ここでは、成功のための具体的なポイントを解説します。
ターゲットセグメントの選定が鍵
レンタル市場のターゲットを明確に設定することが重要です。
例えば
- ・ビジネスウェア（リモートワークの普及により需要増）
- ・フォーマルウェア（結婚式やパーティー需要）
- ・サステナブルファッション志向のカジュアルウェア
など、各ターゲット層のニーズに合った商品展開が成功のカギを握ります。
競争に勝つための差別化戦略
競合との差別化を図るための戦略を考えましょう。
・ブランド品の取扱いによる高付加価値サービス
→ハイブランドアイテムを取り扱うことで、ラグジュアリー志向の顧客を取り込む。
・サイズ・フィット保証の充実
→「サイズが合わなかったら交換可能」「試着サービス」などを導入し、ユーザーの不安を解消。
・スタイリング提案機能の導入（AI活用）
→AIによるコーディネート提案を行い、ファッション選びをサポート。
安定収益を確保するサブスクリプションモデル
定額制のサブスクリプションモデルを採用することで、安定した収益を確保できます。
- ・プランの多様化（月額料金に応じてレンタル点数を変更）
- ・長期契約のインセンティブ提供（長期間利用すると特典を付与）
在庫管理と資産効率を最大化する方法
・使用済み衣類のクリーニングと再流通戦略
→清潔さを保ちつつ、効率的に衣類を再利用する仕組みを構築。
・古着販売の活用
→使用頻度が下がった衣類は古着市場で販売し、資産を最適活用。
ファッションレンタル事業のリスクと課題
ファッションレンタル事業にはさまざまなメリットがある一方で、いくつかのリスクや課題も伴います。
成功のためにはこれらのリスクを理解し、適切な対策を講じることが重要です。
競争環境の激化
近年、ファッションレンタル市場は急成長しており、新規参入企業も増加しています。
そのため、競争が激化し差別化がますます重要になっています。
対策
- ・ブランド価値を高め、独自性のあるサービスを提供する
- ・顧客ロイヤルティを高める施策（ポイント制度、特典の提供など）
法規制の変化とコンプライアンスリスク
レンタルビジネスには、契約、クリーニング基準、消費者保護法などの法規制が関係します。
特に、衛生管理の規制が厳しくなる可能性があります。
対策
- ・法律や規制の最新情報を常にチェックし、適切な対応を行う
- ・クリーニングの品質を向上させ、衛生基準をクリアする
収益リスクとコスト管理の難しさ
ファッションレンタル事業は初期投資が大きく、在庫管理やクリーニングコストが継続的に発生するため、収益化が難しいとされています。
対策
・在庫回転率を上げ、利益率を最大化する
・古着販売やサブスクリプションモデルで収益源を多様化する
ファッションレンタル事業の財務面・銀行取引での優位性
ファッションレンタル事業では融資面でのメリットもあり、融資戦略としても有効です。
・安定したキャッシュフローで信用力を向上させる
→サブスクリプションモデルの継続収益により、低金利融資を受けやすくなります。
・レンタル在庫の資産価値を活用した資金調達
→在庫としての衣類資産を担保にABL（資産担保型融資）を活用し、資金調達が可能。
・サステナブルビジネスの金融評価を高める
→環境に配慮した事業は、グリーンファイナンスの対象となり、助成金の獲得につながる可能性があります。
・業務提携によるコスト削減と効率化
→クリーニング業者や物流企業と提携し、コスト削減を実現。
事業の持続可能性を高めます。
まとめ
ファッションレンタル事業は、適切なターゲット設定、差別化戦略、安定した収益モデルの確立が成功の鍵となります。
また、サステナブルなビジネスモデルやテクノロジーの活用により、今後さらに成長する可能性が高い市場です。
適切な戦略を立て、持続可能なレンタル事業を構築しましょう。
この記事の監修者
株式会社ミライガタリ代表取締役 上岡裕
多数のレンタル事業者のECサイト構築を手がけ、業界に特化した豊富な実績を持つ。EC構築、アプリ構築の知見を土台に商工会議所等の相談員講師として活動し、多くの事業者のサポートを行う。事業のDX化による経営改善が得意領域。
レンタル事業の社会的、経営的強さに魅せられEC構築サービス『レンタルGO』発案、開発。自身が代用を務める株式会社ミライガタリにてサービスを提供中。
都城工業高等専門学校卒。1児の父。
