Z世代とは、一般的に1990年代後半から2010年代前半に生まれた世代を指します。
生まれた時からインターネットやSNSが身近にある「デジタルネイティブ」であることが最大の特徴です。
彼らは、バブル期や経済成長期を知る上の世代とは異なり、経済の停滞や社会の多様化が当たり前の時代に育ちました。そのため、消費行動や価値観においても独自の特徴を持っています。
次世代の主要な消費者となるZ世代を理解することは、あらゆるビジネスにおいて不可欠です。
Z世代の消費行動に見られる5つの特徴
Z世代の消費行動を理解するために、彼らが何を重視し、どのような価値観に基づいて商品やサービスを選んでいるのか、具体的な5つの特徴を見ていきましょう。
1. モノの所有より「コト（体験）」を重視
Z世代は、物質的な豊かさよりも、精神的な豊かさを求める傾向が強いです。「モノ消費」から、旅行やイベント、趣味などを通じて得られる特別な体験を重視する「コト消費」へと価値観がシフトしています。
- 商品やサービスを通じて「どんな体験ができるか」を重視する
- SNSで共有できる「映える」体験や、自分だけの特別な体験に価値を感じる
- 高価なブランド品を所有することよりも、その時々の興味や関心に合わせた体験にお金を使いたいと考えている
この価値観は、「必要な時に必要なモノだけを利用したい」というシェアリングエコノミーの考え方と非常に親和性が高いです。
2. 失敗を避けるための徹底した情報収集
デジタルネイティブであるZ世代は、SNSやレビューサイトを駆使して、購入前に徹底的に情報収集を行います。これは「失敗したくない」という現実的な思考の表れです。
- インフルエンサーや友人の口コミ、第三者のレビューを信頼する
- 広告よりも、実際に使用した人のリアルな声を参考にする
- 複数の情報源を比較検討し、納得した上で購入を決定する
企業からの公式情報だけでなく、ユーザーが発信する正直な情報を重視する姿勢は、マーケティングにおいても重要なポイントです。
3. コスパとタイパを重視する現実的な価値観
Z世代は、コストパフォーマンス（コスパ）だけでなく、タイムパフォーマンス（タイパ）も非常に重視します。限られた時間とお金を、いかに効率的に、そして満足度高く使えるかを常に考えています。
- コスパ：支払う金額に見合う、あるいはそれ以上の価値があるかをシビアに判断する。
- タイパ：情報を得る時間、商品を注文する時間、利用するまでの時間など、あらゆる時間的コストを意識する。
動画を倍速で視聴する文化などは、彼らのタイパ重視の価値観を象徴する行動の一つと言えるでしょう。
あわせて読みたい：利益の安定化！サブスクリプション型レンタルの可能性
4. サステナビリティや社会貢献への高い意識
Z世代は、地球環境問題や社会問題に対する関心が非常に高い世代です。
SDGs（持続可能な開発目標）が教育課程に組み込まれていたこともあり、自分の消費行動が社会や環境に与える影響を意識しています。
- 環境に配慮した製品や、エシカルな（倫理的な）背景を持つブランドを好む
- 企業の社会貢献活動や理念に共感できるかを、購買の判断基準の一つとする
- 大量生産・大量消費の文化に疑問を持ち、リユースやリサイクルに関心が高い
5. 「自分らしさ」と「共感」を求める
多様性を尊重する社会で育ったZ世代は、「自分らしさ」を表現することを大切にします。
ブランドの知名度やステータスよりも、自分の価値観やスタイルに合っているかを重視します。
また、商品やサービスの背景にあるストーリーや、ブランドが発信するメッセージへの「共感」も購買を後押しする大きな要因です。自分たちが応援したいと思える企業やブランドを積極的に選びます。
なぜZ世代にレンタルサービスが響くのか？
これまで見てきたZ世代の消費行動の特徴は、レンタルサービスが提供する価値と驚くほど合致しています。Z世代の価値観とレンタルサービスのメリットを以下の表にまとめました。
| Z世代の価値観・特徴 | レンタルサービスの提供価値 |
|---|---|
| コト消費・体験重視 | 購入は難しい高級品や、特定のイベントでしか使わないモノを気軽に利用し、特別な体験ができる。 |
| 失敗したくない・情報収集 | 購入前のお試し利用が可能。「自分に合うか」を実際に使って確かめられるため、購入の失敗リスクをなくせる。 |
| コスパ・タイパ重視 | 購入費用やメンテナンスの手間、保管場所が不要。必要な期間だけ低コストで利用でき、時間も節約できる。 |
| サステナビリティ | 一つの商品を多くの人でシェアすることで、廃棄物を削減。環境負荷の少ない持続可能な消費スタイルを実現できる。 |
| 自分らしさ・多様性 | ライフスタイルや興味の変化に合わせて、気軽にモノを変えられる。様々なスタイルを試し、自分らしさを見つけられる。 |
このように、レンタルサービスは「所有」から「利用」へと価値観がシフトしているZ世代にとって、非常に合理的で魅力的な選択肢なのです。
Z世代を掴む！レンタルサービスが提供すべき価値
Z世代を次世代顧客として取り込むために、レンタルサービスは以下の価値を提供することが重要です。
気軽に試せる「お試し利用」の提供
高機能な最新家電や、購入を迷っている趣味のアイテムなど、「買って後悔したくない」というZ世代のニーズに応える「お試しレンタル」は非常に有効です。
実際に生活の中で使ってみることで、納得感を持ってその後の購入や継続利用につなげることができます。
特別な体験を演出する「コト消費」セット
「週末キャンプ体験セット」や「おうちシネマ体験セット」のように、特定の体験（コト）に必要なモノをまとめてレンタルできるパッケージは、Z世代の「コト消費」ニーズに直接応えることができます。
準備の手間を省き、手軽に非日常体験を提供することが鍵となります。
環境への配慮とストーリーの発信
レンタルサービスが、なぜ環境に優しいのかを具体的に発信することも重要です。
「このサービスを利用することが、サステナブルな社会に繋がる」というメッセージは、Z世代の共感を呼び、選ばれる理由になります。
企業の環境への取り組みや理念を積極的に伝えましょう。
まとめ
Z世代は、これまでの世代とは異なる新しい価値観を持って消費行動を行っています。「コト消費」「タイパ」「サステナビリティ」といった彼らのキーワードは、モノを「所有」せず「共有」するレンタルサービスの理念と深く結びついています。
彼らのニーズを正確に理解し、その価値観に寄り添ったサービスを提供することで、レンタルサービスはZ世代という巨大な市場を掴むことができるでしょう。
この記事の監修者
株式会社ミライガタリ代表取締役 上岡裕
多数のレンタル事業者のECサイト構築を手がけ、業界に特化した豊富な実績を持つ。EC構築、アプリ構築の知見を土台に商工会議所等の相談員講師として活動し、多くの事業者のサポートを行う。事業のDX化による経営改善が得意領域。
レンタル事業の社会的、経営的強さに魅せられEC構築サービス『レンタルGO』発案、開発。自身が代用を務める株式会社ミライガタリにてサービスを提供中。
都城工業高等専門学校卒。1児の父。
