近年、「所有から利用へ」という価値観の変化が加速する中、BtoB（法人向け）のレンタル市場が急速に拡大しています。
企業の経営戦略において、コスト削減、業務効率化、そして柔軟な資産管理は永遠のテーマです。
レンタルサービスは、これらの課題を解決する有効な手段として、今まさに注目を集めています。
経済産業省の調査によると、広義のBtoB-EC市場は2024年に500兆円を超える規模に達すると予測されており、その中で物品賃貸（レンタル）も重要な位置を占めています。
特に、テレワークの普及に伴うIT機器の需要増や、建設業界における専門機械の利用など、様々な業界でレンタル活用の裾野が広がっています。
本記事では、BtoBレンタル市場のポテンシャルを深掘りし、企業がレンタルサービスを最大限に活用するための具体的な攻略法と今後の展望について詳しく解説します。
なぜ今、法人向けレンタルが選ばれるのか？5つのメリット
企業が購入ではなくレンタルを選択する背景には、明確な経営上のメリットが存在します。
ここでは、特に重要な5つのポイントをご紹介します。
1. 初期投資の大幅な抑制（コスト削減）
事業の立ち上げや新規プロジェクトの開始時には、PC、オフィス家具、専門機器など、多額の設備投資が必要となります。
レンタルを活用すれば、これらの初期費用を大幅に削減し、月々のレンタル料として経費計上することが可能です。
これにより、キャッシュフローを健全に保ち、他の戦略的な投資へ資金を振り分けることができます。
2. 資産管理・運用の手間を削減（業務効率化）
購入した資産は、固定資産としての計上、減価償却、メンテナンス、そして最終的な廃棄処分まで、管理に多くの手間とコストがかかります。
レンタルであれば、これらの煩雑な管理業務はすべてレンタル会社に一任できます。
特にIT機器などは、故障時の代替機提供やキッティング（初期設定）サービスも利用でき、情報システム部門の負担を大きく軽減します。
【購入 vs レンタル 管理業務の比較】
| 項目 | 購入した場合 | レンタルの場合 |
|---|---|---|
| 資産計上 | 必要 | 不要 |
| 減価償却 | 必要 | 不要 |
| メンテナンス・修理 | 自社で手配・費用負担 | レンタル会社が対応 |
| 廃棄処分 | 法令に則り自社で対応 | レンタル会社に返却するだけ |
3. 必要な時に必要な期間だけ利用できる柔軟性
「繁忙期だけ人員が増える」「短期プロジェクトのためにハイスペックなPCが必要」といった、一時的なニーズに柔軟に対応できるのがレンタルの大きな強みです。
購入では無駄になりがちな資産も、レンタルなら必要な期間だけ利用し、不要になれば返却するだけで済みます。これにより、常に最適なリソース配分を維持できます。
4. 最新機種・高性能な設備を利用可能
技術革新のスピードが速いIT機器や専門機材は、数年で陳腐化してしまうリスクがあります。
レンタルサービスを利用すれば、常に最新のモデルや高性能な機材を利用できるため、従業員の生産性向上や事業の競争力維持に繋がります。
5. 節税効果
レンタル料金は、全額を経費として計上することが可能です。
購入した場合の減価償却に比べて、短期間で費用計上できる場合が多く、キャッシュフローの改善だけでなく、法人税の節税効果も期待できます。
BtoBレンタル市場の攻略法：成功への3つのステップ
BtoBレンタル市場のポテンシャルを最大限に引き出すためには、戦略的なアプローチが不可欠です。
ここでは、レンタルサービスの提供側、利用側の両方の視点から、市場を攻略するための3つのステップを解説します。
ステップ1：明確な目的設定と費用対効果の試算
まずは「なぜレンタルを利用するのか」という目的を明確にすることが重要です。
- コスト削減：購入した場合の総所有コスト（TCO）と、レンタル料金の総額を比較検討する。
- 業務効率化：管理業務の削減によって生まれる時間や人的リソースを、どのコア業務に振り分けるかを計画する。
- 柔軟性の確保：事業の繁閑予測に基づき、必要な機材の数量やスペック、期間を具体的に洗い出す。
これらの目的を明確にすることで、自社に最適なレンタルプランを選択しやすくなります。
ステップ2：信頼できるレンタルパートナーの選定
BtoBの取引では、信頼性とサポート体制が成功の鍵を握ります。
以下のポイントを参考に、最適なパートナーを選びましょう。
- 豊富な品揃えと在庫：自社のニーズに合った機器を、必要な時に迅速に調達できるか。
- 柔軟な料金プラン：長期利用割引など、利用期間や数量に応じた柔軟な価格設定があるか。
- 充実したサポート体制：故障時の迅速な対応、代替機の提供、専門スタッフによる相談窓口など、万全のサポートがあるか。
- 実績と信頼性：法人向けサービスの提供実績が豊富で、企業のニーズを深く理解しているか。
BtoBレンタルを検討する際には、購入やリースとの違いを正確に理解しておくことが重要です。
それぞれのメリット・デメリットを比較し、自社の状況に最も適した選択を行いましょう。
ステップ3：効果測定と継続的な見直し
レンタルサービス導入後は、定期的にその効果を測定し、見直しを行うことが大切です。
- コスト削減効果の検証：実際にどれだけのコストが削減できたかを数値で把握する。
- 業務効率の改善度調査：従業員へのヒアリングなどを通じて、管理業務の負担軽減が生産性向上に繋がっているかを確認する。
- 契約プランの最適化：利用状況に合わせて、レンタル期間や台数、機種のスペックなどを定期的に見直し、常に最適な状態を保つ。
今後の展望と課題：BtoBレンタル市場の未来
BtoBレンタル市場は、今後ますます成長が期待される分野ですが、いくつかの課題も存在します。
市場の成長を後押しする要因
- DX（デジタルトランスフォーメーション）の加速：企業のDX推進に伴い、高性能なITインフラを柔軟に導入できるレンタルの需要が高まります。
- サステナビリティへの意識向上：製品をシェアし、ライフサイクルを最大化するレンタルは、環境負荷を低減するビジネスモデルとして、企業のESG経営の観点からも支持を集めるでしょう。
- 働き方の多様化：テレワークやサテライトオフィスの普及により、場所にとらわれずに必要な備品を調達できるサービスの価値が向上します。
乗り越えるべき課題
一方で、レンタル事業者は在庫管理の最適化や、利用者の過失による破損・紛失リスクへの対応といった課題に常に向き合う必要があります。
これらの課題を乗り越え、安定したサービスを提供し続けることが、市場での信頼獲得に繋がります。
レンタル業界全体の動向や、ビジネスとして成功するための秘訣について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
レンタル業界の今後はどうなる？成功のカギと隠れたリスク
まとめ：BtoBレンタルを賢く活用し、企業成長を加速させよう
BtoBレンタル市場は、企業の経営課題を解決し、持続的な成長を支援する大きなポテンシャルを秘めています。
初期投資の抑制、業務効率化、柔軟な資産運用といったメリットを最大限に活かすことで、企業は競争の激しい市場を勝ち抜くための強力な武器を手に入れることができます。
この記事でご紹介した攻略法を参考に、ぜひ自社に最適なレンタルサービスの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
この記事の監修者
株式会社ミライガタリ代表取締役 上岡裕
多数のレンタル事業者のECサイト構築を手がけ、業界に特化した豊富な実績を持つ。EC構築、アプリ構築の知見を土台に商工会議所等の相談員講師として活動し、多くの事業者のサポートを行う。事業のDX化による経営改善が得意領域。
レンタル事業の社会的、経営的強さに魅せられEC構築サービス『レンタルGO』発案、開発。自身が代用を務める株式会社ミライガタリにてサービスを提供中。
都城工業高等専門学校卒。1児の父。
