レンタル事業の生命線!在庫稼働率を最大化する7つの具体策

レンタル事業の生命線!在庫稼働率を最大化する7つの具体策

レンタル事業を運営する上で、売上と同じくらい重要視すべき指標、それが「在庫稼働率」です。

在庫稼働率は、事業が保有するレンタル資産(商品)が、どれだけ効率的に利益を生み出しているかを示す生命線とも言える指標です。

この数値が低い状態は、貴重な資産が十分に活用されず、「眠っている」状態を意味し、収益機会の損失に直結します。

この記事では、在庫稼働率の基本的な知識から、その数値を最大化し、事業の収益性を飛躍的に高めるための7つの具体的な施策を分かりやすく解説します。

目次

    在庫稼働率の計算方法

    在庫稼働率は、以下の計算式で算出するのが一般的です。

    在庫稼働率(%) = (レンタルされた日数 ÷ 在庫の総保有日数) × 100

    例えば、ある商品が1ヶ月(30日)のうち、15日間レンタルされた場合、その商品の稼働率は50%となります。事業者としては、この数値をいかに100%に近づけていくかが重要な課題となります。

    在庫稼働率が低いと発生する3つの問題点

    在庫稼働率が低い状態を放置すると、単に「もったいない」だけでは済まされない、深刻な問題を引き起こします。

    1. 収益性の悪化と機会損失

    最も直接的な影響は、収益の悪化です。レンタルされるべき商品が倉庫に眠っている時間は、本来得られるはずだったレンタル収益を失っていることになります。

    これが積み重なることで、事業全体の利益を大きく圧迫します。

    2. 保管コストの増大

    商品は、ただ保有しているだけでもコストがかかります。倉庫の賃料、光熱費、保険料、管理のための人件費など、固定費は常に発生します。

    稼働していない在庫が多ければ多いほど、これらのコストが重い負担となってのしかかります。

    3. 商品の劣化・陳腐化

    特に家電製品や精密機器、トレンド性の高い商品などは、時間と共に価値が下がっていきます。

    長期間利用されないことで物理的に劣化するだけでなく、市場のニーズに合わなくなり(陳腐化)、レンタル商品としての魅力を失ってしまうリスクがあります。

    在庫稼働率を最大化する7つの具体策

    では、どうすればこの重要な在庫稼働率を高めることができるのでしょうか。

    明日からでも実践可能な7つの具体策をご紹介します。

    1. 需要予測の精度を向上させる

    過去のレンタル実績データ、季節、曜日、地域のイベント情報などを分析し、将来の需要を予測します。

    例えば、「夏休み前にはアウトドア用品」「年末には大掃除グッズ」といった傾向を掴むことで、需要が高まるタイミングに合わせて適切な在庫量を確保し、機会損失を防ぎます。

    2. ダイナミックプライシングを導入する

    需要と供給のバランスに応じてレンタル価格を変動させる手法です。

    需要が高まる繁忙期には価格を少し上げ、逆に閑散期には価格を下げて利用を促すことで、年間を通じた稼働率の平準化と収益の最大化を図ります。

    この価格戦略は、多くの業界で導入が進んでいる有効な手法です。

    3. セット商品やパッケージプランを考案する

    単品ではレンタルされにくい商品も、関連性の高い人気商品と組み合わせることで魅力的なパッケージになります。

    例えば、

    「キャンプ初心者セット(テント+寝袋+ランタン)」
    「テレワーク快適セット(高機能チェア+モニター)」

    など、利用シーンを提案することで、合わせ買いならぬ「合わせ借り」を促進し、複数商品の稼働率を同時に高めることができます。

    4. 徹底したメンテナンスと品質管理

    「いつでも新品同様の品質」は、顧客満足度とリピート率に直結します。

    返却された商品は速やかに清掃・メンテナンスを行い、常に最高のコンディションで次のレンタルに備える体制を構築しましょう。

    品質の高さが口コミで広がれば、指名でのレンタルが増え、稼働率向上に繋がります。

    5. 効果的なマーケティングと販促活動

    魅力的な商品を持っていても、その存在が知られなければ意味がありません。

    SNSでの利用シーン投稿、Web広告、メールマガジンでのキャンペーン告知など、ターゲット顧客に合わせた情報発信を積極的に行いましょう。

    特に、在庫が余剰になりがちな閑散期に的を絞ったプロモーションは効果的です。

    オンラインでの集客を強化するなら、レンタルECサイトの構築も視野に入れるべきでしょう。

    作り方のポイントについては、以下の記事も参考にしてみてください。
    サイト作成に悩むレンタルビジネス向け!ECプラットフォーム比較

    6. 在庫管理システムを導入・活用する

    どの商品がいつ、誰に、どれくらいの期間レンタルされているのか。

    これらの情報をExcelなどで手作業管理するには限界があります。

    レンタル事業に特化した在庫管理システムを導入することで、予約状況や在庫状況をリアルタイムで一元管理でき、ダブルブッキングなどのミスを防ぎます。

    正確なデータは、前述した需要予測の精度向上にも不可欠です。

    システムの導入は、業務効率化だけでなく、稼働率改善のための重要な基盤となります。

    7. 遊休資産の活用を検討する

    長期間レンタルされず、今後も稼働見込みの低い「遊休資産」については、思い切った判断も必要です。

    中古品として売却する、別の事業で活用する、あるいは廃棄するなど、保有し続けることで発生するコストを断ち切ることで、全体の資産効率を高めることができます。

    まとめ:在庫稼働率の改善は、レンタル事業成長の第一歩

    在庫稼働率は、レンタル事業の収益性を測るための鏡です。

    この数値を正しく把握し、今回ご紹介した7つの具体策を実践することで、無駄なコストを削減し、収益を最大化する道筋が見えてきます。

    まずは自社の在庫稼働率を算出し、どこに課題があるのかを分析することから始めてみてはいかがでしょうか。

    一つ一つの改善の積み重ねが、事業の大きな成長へと繋がるはずです。

    この記事の監修者

    株式会社ミライガタリ代表取締役 上岡裕
    多数のレンタル事業者のECサイト構築を手がけ、業界に特化した豊富な実績を持つ。EC構築、アプリ構築の知見を土台に商工会議所等の相談員講師として活動し、多くの事業者のサポートを行う。事業のDX化による経営改善が得意領域。
    レンタル事業の社会的、経営的強さに魅せられEC構築サービス『レンタルGO』発案、開発。自身が代用を務める株式会社ミライガタリにてサービスを提供中。
    都城工業高等専門学校卒。1児の父。