CRMツールを活用した、顧客セグメント別メールマーケティング

レンタル事業における「セグメント配信」の重要性

ECサイト運営において「メルマガ」は古典的ですが、今なお最も費用対効果(ROI)が高いマーケティング手法の一つです。しかし、レンタル事業においては、単に全員に同じメールを送る「一斉送信」では十分な効果が得られません。

なぜなら、レンタルには「貸出期間」という特有の時間軸があるからです。

  • Aさん:商品が発送されたばかり
  • Bさん:3日後に返却期限を迎える
  • Cさん:半年前に利用して以来、音沙汰がない

この3人に「今週末のおすすめ商品」を一斉に送っても、返却期限が迫っているBさんにはノイズでしかありません。
顧客の状況(ステータス)に合わせてグループ分けを行う「セグメンテーション」と、適切なタイミングで情報を届ける「CRM(顧客関係管理)」の連携が、レンタル事業のLTV(顧客生涯価値)を高める鍵となります。

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目次


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    「注文日」ではなく「利用日」が重要

    Shopifyの標準機能や一般的なEC向けマーケティングツールは、「商品を販売する(売り切り)」ことを前提に設計されています。そのため、ステップメールの配信トリガー(きっかけ)は基本的に以下のようになります。

    • 注文完了日の◯日後
    • 発送完了日の◯日後

    しかし、レンタル事業では「注文日」と「実際の利用日」が大きく離れていることが珍しくありません。3ヶ月後の予約を入れたお客様に対し、注文の3日後に「レビューをお願いします」と送っても、まだ商品は手元に届いていないのです。

    レンタルGO × Klaviyoで実現する「期間」起点の配信

    この課題を解決するのが、Shopifyアプリ「レンタルGO」と、世界的なマーケティングオートメーションツール「Klaviyo(クラビヨ)」の連携です。

    レンタルGOは、Shopifyの注文データに対し、レンタル特有の情報を付与してKlaviyoへ連携させることができます。

    連携データ・タイミングメール配信の活用例
    発送4日後「商品は無事にお手元に到着いたしましたでしょうか?」という配送確認
    商品の使い方ガイドや動画の送付
    利用終了日「返却期限まであと3日」というアラート
    延長利用や、そのまま購入のご案内
    返却完了後サンクスメール、レビュー依頼
    次回使えるクーポンの配布

    このように、「注文」ではなく「体験(利用期間)」を基準にメールを自動化できる点が、レンタルGOを導入する大きなメリットの一つです。

    【実践編】CRMを活用した3つの鉄板シナリオ

    では、実際にレンタルGOとKlaviyoを使って、どのようなメールマーケティングを行うべきか、具体的なシナリオをご紹介します。

    1. 発送4日後:商品の到着確認とサポート

    商品が無事に届いているかを確認するメールは、顧客に安心感を与えます。多くの地域では発送から4日あれば商品が到着しているため、このタイミングでのフォローは非常に有効です。

    • タイミング:発送完了から4日後
    • 内容
      • 「商品は無事にお手元に到着いたしましたでしょうか?」という確認
      • 同梱物の確認リスト(不足がないかのチェック)
      • 初心者向けの使い方マニュアル(動画リンク)

    事務的なリマインドではなく「気遣い」のメールを送ることで、万が一配送トラブルがあった場合も早期発見につながり、ブランドへの信頼度が大きく向上します。

    2. 利用終了日前:延滞防止と「延長・購入」の提案

    レンタル事業で最も避けたいトラブルの一つが「延滞」です。しかし、このタイミングは最大のチャンスでもあります。
    顧客が商品を気に入っている場合、そのまま期間を延長したり、商品を買い取ったりしたいというニーズが潜んでいるからです。

    レンタルGOでは、「延長」「そのまま購入(買取)」の設定が可能です(※マーチャント側での設定が必要です)。メールでこれらの選択肢を案内することで、延滞を防ぎながら追加の売上を作ることが可能です。

    • タイミング:利用終了日の3日前
    • 内容
      • 返却期限の通知(カレンダーへの登録リンクなど)
      • 返送方法の再案内(梱包方法、伝票の場所など)
      • 「もっと長く使いたい」「このまま自分のものにしたい」というご案内
        ※お客様の「マイページ」へリンクさせ、注文履歴から延長や購入の手続きを行ってもらう形をとります。

    期限の3日前に通知することで、顧客は「返却する」か「延長・購入して使い続ける」かを余裕を持って検討できます。これは顧客体験を向上させ、かつ客単価(LTV)を最大化する非常に有効な施策です。

    なお、返却リマインドのような緊急性の高い通知に関しては、自動配信だけでなく**手動でのメッセージ送信(LINE公式アカウントのチャット機能など)**を併用するのも有効です。手間はかかりますが、個別に連絡を入れることで見落としを防ぎ、確実な回収につなげることができます。

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    3. 返却完了後:一定期間利用がない方への再アプローチ

    最終利用から期間が空いている顧客に対し、再度ショップを訪れてもらうきっかけを作ります。この施策では、「Shopifyで作成したセグメントをKlaviyoで配信する」という連携フローを活用します。

    手順のイメージ

    1. Shopifyでセグメント作成
      • Shopifyの「顧客管理」画面にて、「指定のコレクション(例:レンタル商品)」を購入し、かつ「過去3ヶ月間注文がない」顧客をフィルター条件で絞り込み、セグメントとして保存します。
    2. Klaviyoへ連携・配信
      • 保存したShopifyのセグメントはKlaviyoに同期されます。Klaviyo側でそのセグメント宛にメール配信を設定します。
    • タイミング:返却から30日後、90日後など
    • 内容
      • 「リピーター様限定」シークレットクーポン
      • 過去に借りた商品に関連する新着アイテムの紹介
      • 季節のイベント(行楽シーズンなど)に合わせた提案

    このようにShopify側で商品管理や顧客フィルタリングを行い、その結果をKlaviyoに渡して配信することで、管理の手間を抑えながら的確なアプローチが可能になります。

    まとめ:ツールに任せて「接客」を自動化しよう

    顧客一人ひとりの利用スケジュールに合わせて手動でメールを送ることは、物理的に不可能です。しかし、システムに任せることで、まるで専属のコンシェルジュがついているかのようなきめ細やかな対応が可能になります。

    レンタルGOは、単なる予約管理システムではありません。Klaviyoなどの外部ツールと柔軟に連携し、レンタル事業の収益構造を「守り(在庫管理)」と「攻め(マーケティング)」の両面から支えます。

    Shopifyでのレンタル事業立ち上げや、既存システムからの移行をご検討の方は、ぜひレンタルGOの機能詳細をご確認ください。

    レンタルGO 公式サイトはこちら

    この記事の監修者

    株式会社ミライガタリ代表取締役 上岡裕
    多数のレンタル事業者のECサイト構築を手がけ、業界に特化した豊富な実績を持つ。EC構築、アプリ構築の知見を土台に商工会議所等の相談員講師として活動し、多くの事業者のサポートを行う。事業のDX化による経営改善が得意領域。
    レンタル事業の社会的、経営的強さに魅せられEC構築サービス『レンタルGO』発案、開発。自身が代用を務める株式会社ミライガタリにてサービスを提供中。
    都城工業高等専門学校卒。1児の父。