
「レンタルECを始めたけれど、思ったよりも利益が残らない…」
「カートまでは進むのに、決済直前で離脱(カゴ落ち)されてしまう…」
このような悩みを抱えるレンタル事業者は少なくありません。その原因の多くは、レンタルビジネス特有の「往復送料」の問題にあります。
通常のネットショップ(物販)とは異なり、レンタルでは「届ける時」と「返却される時」の2回分の配送コストが発生します。このコストを正直に「送料」として表示すると、お客様は「高い!」と感じて購入をやめてしまうのです。
この記事では、レンタルECにおける「往復送料」の賢い見せ方と、Shopify(ショッピファイ)を活用した最適な設定方法について、具体的な3つの戦略を解説します。
レンタルECの送料が「高い」と感じられる理由
一般的なECサイトの送料は、全国一律800円〜1,000円程度、あるいは「〇〇円以上で送料無料」が一般的です。消費者はこの価格帯に慣れています。
しかし、レンタルの場合は以下のコストが発生します。
- 発送時の送料(元払い): 事業者が負担(お客様へ請求)
- 返却時の送料(着払い): 事業者が負担(お客様へ請求が必要)
例えば、片道1,000円の地域の場合、往復で2,000円の実費がかかります。商品レンタル料が3,000円なのに、決済画面で「送料:2,000円」と表示されたらどうでしょうか?
お客様は「送料で損をしている」と感じ、サイトを離脱してしまう可能性が極めて高くなります。
往復送料の「見せ方」が勝負の分かれ道
つまり、レンタルECの成功は、「いかに往復送料を意識させずに、適切にコストを回収するか」にかかっています。
【戦略別】レンタルECのおすすめ送料設定 3パターン
お客様の心理的ハードルを下げつつ、しっかり利益を確保するための3つのパターンをご紹介します。
| パターン | 設定方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| A. 送料無料(込み)型 | レンタル料金に往復送料を含み、「送料無料」と表示 | カゴ落ち率が最も低い お得感がある | 商品単価が高く見える 遠隔地(北海道・沖縄)の赤字リスク |
| B. 片道送料のみ請求型 | レンタル料金に「返送料」を含み、「発送分」のみ送料として請求 | 送料が安く見え、納得感がある | 内訳の説明が必要 |
| C. 地域別・実費型 | 往復分の実費を送料として設定 | 利益計算が正確 近隣ユーザーには安価 | 遠方ユーザーの離脱率が高い |
【推奨】パターンA:送料無料(込み)型
多くのレンタルECで採用されている最も推奨される方法です。
例えば、本来「レンタル料3,000円+往復送料2,000円」の商品であれば、「レンタル料5,000円(往復送料無料)」と設定します。
「送料無料」というキーワードは強力なマーケティングツールになります。特に、利用期間が決まっているレンタル商品の場合、総額がわかりやすいことはお客様にとって大きな安心材料となります。
Shopifyでの具体的な送料設定手順
ここでは、Shopifyの標準機能を使い、上記の戦略を実装する方法を解説します。
1. 基本の送料設定(配送プロファイル)
Shopify管理画面の「設定」>「配送と配達」から設定を行います。
- 送料無料型の場合: すべてのゾーンの送料を「0円」に設定し、商品価格自体を調整します。
- 北海道・沖縄のみ別料金にする場合: 「条件付き」で新しいゾーンを作成し、遠隔地のみ追加料金(中継料相当)を設定することで、赤字リスクを回避できます。
2. 返送用伝票(着払い伝票)の運用フロー
システム上の設定だけでなく、物理的な「返却」のオペレーションも重要です。お客様がスムーズに返却できるよう、以下のフローを構築しましょう。
- 商品発送時、配送業者の「着払い伝票」を同梱する。
- 着払い伝票の「お届け先」欄には、自社の倉庫住所をあらかじめ印字しておく。
- お客様は、届いた箱に商品を戻し、同梱された伝票を貼って発送するだけ。
この「着払い伝票代」を、前述の「レンタル料金」または「送料」の中に予め組み込んでおくのがポイントです。ヤマト運輸や佐川急便などの配送業者と法人契約を結ぶことで、往復の運賃コストを抑えられる場合もあります。
内部リンクでの情報補完
レンタル事業の立ち上げや、配送コスト削減・運用フローについては、以下の記事も参考にしてください。
- 梱包・発送コストを削減する資材選びとオペレーションのコツ
- 【完全ガイド】レンタルECサイトの始め方|Shopify, ecforce… プラットフォーム徹底比較
- レンタル事業のSEO対策|「地域名+レンタル」で上位表示を独占する戦略
アプリ「レンタルGO」で実現する、送料以上の付加価値
送料の設定でお客様の心理的ハードルを下げたら、次は「借りやすさ」で成約率を高めましょう。
Shopifyアプリ「レンタルGO」を導入すると、単なる物販カートにはない、レンタル特化の機能を追加できます。
- カレンダー予約機能: 「いつからいつまで借りたいか」をお客様がカレンダーで選択できます。
- 在庫の自動管理: 貸出中の期間は自動的に在庫がロックされるため、ダブルブッキング(過剰受注)を防ぎます。
- 期間に応じた料金計算: 3泊4日、7泊8日など、期間に応じた料金を自動計算できます。
送料とレンタル期間のバランス
「レンタルGO」を活用すれば、「長期レンタルなら1日あたりの単価が安くなる」といった見せ方も可能です。これにより、相対的に送料の負担感を薄め、LTV(顧客生涯価値)を高めることができます。
例えば、「往復送料込み」の価格設定にする場合でも、レンタルGOの期間設定と組み合わせることで、「7日間レンタルパック(送料込)」のような分かりやすい商品作りが可能になります。
まとめ:送料戦略は「隠す」のではなく「デザイン」する
レンタルECにおいて、往復送料は避けて通れないコストです。
しかし、それを単純に「送料」として請求するのではなく、商品価格に含めたり、サービス全体の体験としてデザインしたりすることで、お客様に「高い」と感じさせずに利用してもらうことができます。
本記事のポイント:
- 往復送料を別途請求するとカゴ落ちの原因になる。
- 「送料込み(無料表示)」が最もコンバージョンが高い傾向にある。
- 返送用の着払い伝票を同梱し、そのコストも価格に転嫁する。
- Shopifyと「レンタルGO」を組み合わせ、分かりやすい料金プランを作る。
最適な送料設定と、スムーズな予約体験を提供する「レンタルGO」で、選ばれるレンタルサイトを構築しましょう。
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