優良顧客を育成するロイヤルティプログラムの設計と効果的な施策モデル

レンタルビジネスにおいて、新規顧客の獲得と同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが「既存顧客の維持(リテンション)」です。商品を一度貸し出して終わりではなく、何度も利用してくれる「優良顧客(ロイヤルカスタマー)」をいかに育成するかが、事業の安定成長を左右します。

今回は、レンタル事業におけるロイヤルティプログラムの設計思想と、Shopifyアプリ「レンタルGO」や外部アプリを活用した具体的な施策アイデアについて解説します。

目次

    レンタル事業におけるロイヤルティプログラムの重要性

    ロイヤルティプログラムとは、顧客の購買頻度や利用額に応じて特典を提供し、企業への愛着(ロイヤルティ)を高める仕組みのことです。

    レンタル事業は「商品を所有しない」という特性上、顧客はいつでも他社サービスに乗り換えることができます。そのため、単なる価格競争に巻き込まれないよう、「この店で借りる理由」を作り出し、LTV(顧客生涯価値)を最大化させる取り組みが不可欠です。

    あわせて読みたい:「また借りたい」を生む顧客体験(CX)とは?リピート率を向上させてLTVを高める方法

    成功するプログラム設計の3つの柱

    顧客が「またここで借りたい」と感じる体験を設計するために、以下の3つの視点を取り入れましょう。

    1. オンラインとオフラインをつなぐ(OMO施策)

    実店舗をお持ちの場合、「Webで予約して店舗で受け取る」という体験を提供することは、非常に有効なロイヤルティ施策です。

    配送待ちのストレスをなくし、店頭でのスタッフとのコミュニケーションを通じて、安心感や親近感を醸成できます。対面での接客は、顧客の細かなニーズを拾い上げるチャンスでもあり、その後のリピート率向上に直結します。

    「レンタルGO」の上位プランで利用可能な「店頭受取機能」を活用することで、Shopify上のオンライン予約と実店舗のオペレーションをスムーズに連携させることが可能です。

    2. コミュニケーションのパーソナライズ

    すべての顧客に同じメールを送るのではなく、顧客の行動に合わせたアプローチを行います。

    • 利用後のレビュー依頼:返却直後のタイミングでレビューを依頼し、回答者に次回のレンタルで使える割引クーポンを配布する。
    • 記念日提案:過去に子供用衣装をレンタルした顧客に対し、翌年の同時期に「一回り大きいサイズ」の提案や、誕生日フォト用グッズの案内を送る。

    こうしたきめ細やかなフォローは、Shopifyの顧客管理機能やマーケティングアプリを活用することで自動化できます。

    3. 会員ランク制度の導入(アプリ活用)

    「年間利用額〇〇円以上でゴールド会員」といったランクを設け、上位顧客を特別扱いすることも効果的です。例えば以下のような特典設計が可能です。

    • ランク別クーポンの配布:ランクに応じて、常時5%OFFや10%OFFになるクーポンコードを発行する。
    • 先行予約権の付与:人気商品の予約開始時に、一般公開より先に会員限定で予約を受け付ける。

    こうした仕組みをゼロから開発するのは困難ですが、Shopifyのエコシステムを活用すれば、既存のアプリを組み合わせるだけで実現可能です。

    【推奨構成】レンタルGO × VIP × Locksmith

    本格的なロイヤルティプログラムを構築する場合、以下の3つのアプリを組み合わせるのが鉄板の構成です。

    1. レンタルGO:商品の予約管理・在庫管理を行う(基盤)
    2. VIP(Stack社):顧客のランク判定・ポイント付与を行う(ロイヤルティ)
    3. Locksmith:会員限定の予約ページを作成する(アクセス制限)

    1. 顧客体験を高める「VIP」の活用

    日本のShopifyストアで高い支持を得ているのが、株式会社Stackが提供する「VIP(VIP: Membership Program)」です。このアプリが選ばれる理由は、単なるポイント機能にとどまらない「顧客育成」の仕組みにあります。

    • 会員ランクの完全自動化:「年間購入額」などの条件を設定するだけで、アプリが自動で顧客をランク分けし、タグを付与します。運用の手間がかかりません。
    • 柔軟な特典設計:貯まったポイントを「次回のレンタル割引」に使えるだけでなく、「会員限定ノベルティ」との交換など、ブランド独自の体験を提供できます。
    • リファラル(紹介)機能:「友達を紹介したら双方にクーポン配布」という仕組みを簡単に導入でき、優良顧客を通じた新規獲得が狙えます。

    参考:Shopifyアプリストア:VIP(株式会社Stack)

    2. 限定ページを作る「Locksmith」の活用

    特に「先行予約」を行う場合、単にURLをメールで送るだけでは拡散されるリスクがあります。そこで活躍するのがアクセス制限アプリ「Locksmith」です。

    このアプリを使えば、「VIPアプリで付与された『ゴールド会員タグ』を持つ人だけがアクセスできる商品ページ」を簡単に作成できます。これにより、上位顧客だけに特別なレンタルプランを案内する、真の限定体験を提供できます。

    参考:Shopifyアプリストア:Locksmith

    【業界別】ロイヤルティ向上につながる施策アイデアと活用イメージ

    ここでは、レンタル事業の特性に合わせ、「こうすればLTV向上が期待できる」という効果的な施策のモデルケースを紹介します。

    モデル1:カメラ・ガジェット(会員ランク×手続きの簡略化)

    高額な機材を扱うレンタルでは、初回利用時の厳格な本人確認(審査)がリピートの障壁になることがあります。

    施策イメージ:
    VIPアプリで「ゴールドランク(優良顧客)」と判定された会員に対し、Locksmithで制限された「審査不要・即予約可能な専用商品ページ」を表示させます。
    これにより、信頼できるリピーターには「Amazonで買うような手軽さ」を提供し、他社サービスへの流出(スイッチング)を防ぐ効果が期待できます。

    モデル2:アウトドア用品(ポイント循環×クロスセル)

    キャンプ用品のレンタルと販売(新品・中古・消耗品)を併売している店舗で有効なモデルです。

    施策イメージ:
    レンタルの利用額に応じてVIPポイントを付与し、そのポイントを「ガス缶」や「薪」などの消耗品購入に充当できるように設定します。
    「まずはレンタルで試す」→「ポイントが貯まる」→「貯まったポイントで消耗品を買う」という循環を作ることで、レンタル利用者を購入客へと育成し、顧客単価の底上げが狙えます。

    「レンタルGO」で実現する優良顧客の育成

    Shopifyアプリ「レンタルGO」は、顧客との長期的な関係構築を支援する基盤機能を備えています。

    柔軟な在庫運用による機会損失の防止

    優良顧客を逃さないためには、在庫切れによる機会損失を防ぐことが重要です。レンタルGOでは、Webブラウザの管理画面からリアルタイムで予約状況を確認できるため、電話予約や店頭での問い合わせに対してもスムーズな案内が可能です。

    また、繁忙期にはシーズンオフの商品を別のアプローチで活用するなど、在庫の回転率を高める工夫も事業の持続性には欠かせません。

    シーズンオフの在庫をどうする?遊休資産を収益に変えるアイデア3選

    まとめ:ツールを組み合わせて顧客との絆を深めよう

    ロイヤルティプログラムの設計は、単にポイントを配ることだけではありません。「スムーズな受取体験」や「自分を特別扱いしてくれるコミュニケーション」など、顧客がレンタルサービスを利用する際の体験価値を上げることこそが、最大のロイヤルティ向上施策となります。

    「レンタルGO」の予約機能と、Shopifyの拡張性を活かした「VIP」「Locksmith」などのアプリを組み合わせることで、一度きりの取引ではなく、長く愛されるレンタル事業を構築していきましょう。

    機能の詳細や導入に関するご相談は、ぜひ公式サイトをご覧ください。

    レンタルGO 公式サイトはこちら

    この記事の監修者

    株式会社ミライガタリ代表取締役 上岡裕
    多数のレンタル事業者のサポートを行い、業界に特化した豊富な実績を持つ。自身が代表を務める株式会社ミライガタリにてレンタル事業EC構築サービス『レンタルGO』を提供中。
    ECサイト構築、予約アプリ/マッチングアプリ等のプロダクト開発を手がける中、商工会議所等の相談員講師としても活動し、多くの事業者のマーケティング支援、DX化による経営改善等を行う。
    都城工業高等専門学校卒。1児の父。