カゴ落ち率を改善するEFO(入力フォーム最適化)のテクニック

「サイトへのアクセスはあるのに、購入完了まで至らない」「カートに商品は入るのに、決済直前で離脱されてしまう」

このような悩みをお持ちのEC事業者様は多いのではないでしょうか。実は、ECサイトにおける「カゴ落ち(カート放棄)」は平均して約70%にも上ると言われています。

特にレンタルやサブスクリプションサービスの場合、通常の物販よりも入力項目(利用期間や本人確認など)が多くなりがちで、ユーザーがストレスを感じて離脱するリスクがさらに高まります。

そこで今回は、売上アップに直結する「カゴ落ち率を改善するEFO(入力フォーム最適化)のテクニック」について解説します。Shopifyなどのプラットフォームでレンタル事業を行っている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

    カゴ落ち(カート放棄)とは?現状とEFOの重要性

    「カゴ落ち(Cart Abandonment)」とは、ユーザーが商品をショッピングカートに入れたものの、購入手続きを完了せずにサイトを離脱してしまう現象のことです。

    世界のカゴ落ち率は約70%という事実

    世界的なUX調査機関であるBaymard Instituteの2025年の統計データによると、世界の平均的なカゴ落ち率は約70.2%です。つまり、10人がカートに商品を入れても、そのうち7人は購入せずに去っている計算になります。

    この70%の離脱ユーザーのうち、わずか数%でも購入完了に導くことができれば、広告費を増やさずに売上を劇的に改善することが可能です。そのための鍵となる施策がEFO(Entry Form Optimization:入力フォーム最適化)です。

    なぜユーザーはカゴ落ちするのか?主な原因

    対策を打つ前に、ユーザーが離脱する理由を知る必要があります。主な原因は以下の通りです。

    • 想定外の追加費用:決済直前で高い送料や手数料が表示された。
    • アカウント作成の強制:会員登録しないと購入できない仕様になっている。
    • フォーム入力が複雑・長い:名前、住所、カード情報など入力項目が多すぎて面倒。
    • セキュリティへの不安:クレジットカード情報を入力する画面に信頼感がない。
    • サイトのエラーや遅延:読み込みが遅い、またはエラーが発生した。

    今日からできる!カゴ落ち率を改善するEFOテクニック5選

    ユーザーのストレス(フリクション)を取り除き、スムーズに購入完了へ導くための具体的なEFOテクニックを紹介します。

    1. ゲスト購入(会員登録なし)を許可する

    「会員登録」は事業者にとっては顧客囲い込みのチャンスですが、ユーザーにとっては「手間」でしかありません。初回購入時は「ゲスト購入」を許可し、購入完了後に会員登録を促すフローに変更することで、離脱率を大幅に下げることができます。

    2. 入力項目を最小限にする

    フォームの項目数は少なければ少ないほどコンバージョン率(CVR)は高まります。「会社名」や「FAX番号」、「ふりがな」など、必須ではない項目は削除するか、「任意」であることを明確にしましょう。

    また、郵便番号を入力すると住所が自動入力される「住所自動入力機能」の実装は、EFOの基本中の基本です。

    3. 入力エラーをリアルタイムで表示する

    すべての項目を入力し終えて「次へ」を押した後に、まとめてエラーが表示される仕様はユーザーを強く失望させます。
    入力した瞬間に「〇〇は必須です」「形式が正しくありません」と判定して教える「リアルタイムバリデーション」を導入しましょう。

    4. プログレスバー(進捗状況)を表示する

    あとどれくらいで手続きが終わるのかが見えないと、ユーザーは不安になります。画面上部に「カート > お客様情報 > 配送・支払い > 完了」といったプログレスバーを表示し、現在地とゴールを可視化しましょう。

    5. 入力フォームの入力支援機能を活用する

    ブラウザのオートコンプリート(自動入力)機能に対応したコーディングを行うことで、ユーザーはスマホに保存された情報をワンタップで呼び出せます。特にモバイルユーザーにとって、この機能の有無は離脱率に大きく影響します。

    レンタル・サブスクサイト特有の「カゴ落ち」課題と対策

    通常のECサイトとは異なり、レンタルやサブスクリプションサービスには特有の「入力ハードル」が存在します。

    通常のECサイトレンタル・サブスクサイト
    商品を選んで決済するだけ「利用開始日」と「返却日」の選択が必要
    住所と決済情報のみ高額商品の場合、「本人確認書類」の提出が必要な場合も

    このように、レンタルサイトはユーザーに求めるアクションが多く、その分カゴ落ちリスクが高まります。ここで重要になるのが、「カレンダーUIの使いやすさ」「シームレスな体験」です。

    Shopifyアプリ「レンタルGO」での解決策

    Shopifyでレンタルサイトを構築する場合、通常の物販用カートシステムでは「期間選択」などが複雑になりがちです。しかし、レンタル特化のShopifyアプリ「レンタルGO」を導入することで、これらの課題を解決しEFO効果を高めることができます。

    • 直感的なカレンダー予約機能:商品ページ上で、カレンダーから「開始日」と「終了日」をタップするだけで期間選択が完了。ユーザーを迷わせません。
    • 柔軟な料金計算:期間に応じた料金が即座に自動計算され表示されるため、「いくらかかるか分からない」という不安(カゴ落ち原因)を解消します。
    • Shopifyチェックアウトとの連携:Shopifyの堅牢で最適化されたチェックアウトフローをそのまま利用できるため、信頼性と操作性が担保されます。

    複雑なレンタル手続きをシンプルにすることは、最強のEFO対策と言えます。

    あわせて読みたい

    レンタルサイトの構築やShopify活用について、さらに詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。

    まとめ:EFOは「おもてなし」の心

    カゴ落ち対策としてのEFOは、単なるテクニックではありません。「ユーザーにいかにストレスなく、気持ちよく買い物をしてもらうか」という、Web上の接客・おもてなしそのものです。

    特にレンタル事業においては、予約の日程選択という独自のステップがあるため、専用のツールやアプリを活用してUI/UXを最適化することが、売上アップへの近道となります。

    まずは自社サイトのフォームを実際にスマホで操作し、使いにくい箇所がないか点検することから始めてみましょう。

    この記事の監修者

    株式会社ミライガタリ代表取締役 上岡裕
    多数のレンタル事業者のECサイト構築を手がけ、業界に特化した豊富な実績を持つ。EC構築、アプリ構築の知見を土台に商工会議所等の相談員講師として活動し、多くの事業者のサポートを行う。事業のDX化による経営改善が得意領域。
    レンタル事業の社会的、経営的強さに魅せられEC構築サービス『レンタルGO』発案、開発。自身が代用を務める株式会社ミライガタリにてサービスを提供中。
    都城工業高等専門学校卒。1児の父。