
「商品を売る」のではなく「貸して収益を得る」レンタルビジネス。シェアリングエコノミーの定着や、訪日観光客(インバウンド)の増加に伴い、Wi-Fi、着物、アウトドア用品、家電などのレンタルECサイト需要が急増しています。
しかし、いざレンタルECを始めようとすると、「通常のネットショップ作成サービスではカレンダー予約ができない」「返却管理はどうすればいい?」といったシステム的な壁にぶつかります。
本記事では、レンタルECサイトの具体的な始め方と、Shopify、ecforce、主要ASP、そしてフルスクラッチ開発を含めた徹底比較を行い、あなたの事業に最適なシステムの選び方を解説します。
失敗しないレンタルECサイト立ち上げの3ステップ
いきなり契約するのではなく、以下の手順で進めることで手戻りを防げます。
1. ビジネスモデルと要件定義
「誰に・何を・どう貸すか」で必要な機能が異なります。
- 商材と期間:数時間の短期レンタル(着物・自転車)か、月単位のサブスク(家具・家電)か。
- 出口戦略:レンタルのみで収益化するか、「気に入ったら購入(Rent to Own)」へ誘導するか。
- ターゲット:国内のみか、インバウンド(多言語対応)も狙うか。
2. ECプラットフォームの選定
ここが最大の難関です。多くのカートシステムは「販売」に特化しており、「貸出・返却」の管理機能は標準では備わっていません。後述する比較表を参考に、慎重に選びましょう。
3. サイト構築と機能実装
在庫連動した予約カレンダーや、身分証アップロード(eKYC)など、リスク管理を含めた機能を実装します。
【徹底比較】レンタルEC構築 6つの選択肢
レンタルEC構築の選択肢となる主要プラットフォームと開発手法を、機能・コスト・拡張性の観点で比較しました。
| プラットフォーム | 特徴 | レンタル適性 | 費用感 |
|---|---|---|---|
| Shopify (ショッピファイ) | 世界シェアNo.1。アプリで機能を自由に追加でき、デザイン性も高い。 | ◎(最適) | 低〜中 |
| ecforce (イーシーフォース) | D2C・定期通販(リピート購入)に特化。マーケティング分析に強み。 | △(定期配送向き) | 中〜高 |
| MakeShop (メイクショップ) | 日本の老舗ASP。機能豊富でB2Bに強いが、レンタル機能はオプション対応等。 | △ | 低〜中 |
| BASE (ベイス) | 初期費用・月額無料。手軽だが、複雑な予約管理や在庫連携は苦手。 | △(小規模向き) | 低 |
| aishipRENTAL (アイシップ) | レンタル専用カート。予約機能は標準搭載だが、デザインやアプリ拡張性は限定的。 | ○ | 中 |
| フルスクラッチ (完全独自開発) | ゼロから開発。仕様は無限に自由だが、開発費と期間が膨大にかかる。 | ○ | 高(数百万〜) |
1. Shopify(ショッピファイ):拡張性とコストのベストバランス
結論、レンタルECサイトを始めるならShopifyが最もおすすめです。
通常の物販機能に加え、レンタル専用アプリ(後述するレンタルGOなど)を組み合わせることで、カレンダー予約や在庫管理を低コストで実装可能。また、多言語・多通貨対応に優れているため、インバウンド需要もしっかり取り込めます。
2. ecforce(イーシーフォース):定期購入(サブスク)の王者
サプリメントやコスメの「定期購入」には最強ですが、「○月○日〜○月○日まで貸し出す」というスポットレンタルには不向きな場合があります。カスタマイズで対応も可能ですが、開発コストがかさむ傾向にあります。
3. MakeShop(メイクショップ):日本独自の商習慣に強い
日本のB2B取引などに強い老舗カートですが、レンタル特有のカレンダーUIなどを実装するには、高額なカスタマイズプランが必要になるケースが多いです。
4. BASE(ベイス):個人・スモールスタート向け
初期費用無料で始められますが、「予約販売アプリ」などの機能が簡易的で、ダブルブッキングの防止や、返却管理フローの構築が難しく、規模が大きくなると運用が限界になります。
5. aishipRENTAL(アイシップレンタル):レンタル特化型
レンタル専用に作られているため、予約機能は標準で充実しています。しかし、専用システムゆえに「デザインを自由に変えたい」「マーケティングツールを入れたい」といった拡張性に乏しく、他社ツールとの連携が難しいのが弱点です。
6. フルスクラッチ(完全独自開発):予算無制限なら最強
既存のプラットフォームを使わず、ゼロからシステムを構築する手法です。「自社の基幹システムと複雑に連携させたい」「完全に独自の予約フローを作りたい」という場合に選ばれますが、初期費用で数百万円〜数千万円、開発期間も半年以上かかることが一般的です。システムの保守管理も自社で行う必要があります。
※各プラットフォームのより詳細な比較については、以下の記事も参考にしてください。
サイト作成に悩むレンタルビジネス向け!ECプラットフォーム比較
収益を最大化する!レンタルECの「勝ち機能」
単に「予約ができる」だけでは不十分です。売上を伸ばすレンタルサイトには、以下の機能が備わっています。
- リアルタイム在庫カレンダー:「予約できる日」がひと目でわかり、ダブルブッキングを完全防止。
- そのまま購入(Rent to Own):「レンタルして気に入ったら、差額を支払って購入できる」機能。購入のハードルを下げ、客単価を劇的にアップさせます。
- 多言語対応:英語や中国語での予約受付により、訪日観光客の利用を促進します。
Shopifyでこれら全てを実現する「レンタルGO」
Shopifyは優秀ですが、海外製のレンタルアプリは「日本の商習慣(延滞料金、配送日数計算)」に対応していないことが多く、管理画面も英語です。
そこで推奨されるのが、Shopify専用のレンタルEC構築サービス「レンタルGO」です。
✅ レンタルGOの3つの強み
- 「そのまま購入」機能:
レンタルで試して、気に入ればレンタル料を充当して購入可能。家電や楽器などの高単価商品の成約率を高めます。
(参考:海外のレンタルビジネスに学ぶ!日本市場で応用可能なユニークな収益モデル5選) - インバウンド対応カレンダー:
英語・中国語(繁体/簡体)に対応した予約カレンダーで、外国人観光客の取りこぼしを防ぎます。 - 柔軟なステータス管理:
「予約中」「配送中」「延滞中」「メンテナンス中」など、日本の現場に必要な細かいステータスを一元管理できます。
京都丸紅株式会社様の着物レンタルや、e-CHARIty様の電動自転車レンタルなど、多くの企業がレンタルGOでサイトを構築し、成果を上げています。
まとめ:将来性を見越したプラットフォーム選びを
初期費用を抑えつつ、将来的に「販売」や「インバウンド」へも事業を広げたいなら、Shopifyでの構築が最もリスクが低く、拡張性が高い選択と言えます。
フルスクラッチのような莫大なコストをかけずとも、Shopifyと「レンタルGO」を組み合わせることで、高機能なレンタルサイトは構築可能です。
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