「返却が面倒」を解消する!顧客体験を向上させる返却フローの設計方法

レンタル事業において、注文までのフロー(Webサイトのデザインや予約フォーム)には力を入れていても、「商品が役目を終えて、顧客の手から離れる瞬間=返却」の体験設計がおろそかになっているケースは少なくありません。

実は、レンタルECにおける顧客満足度(CS)の最後を締めくくり、リピート率を左右する最大の要因は「返却のスムーズさ」にあります。

今回は、顧客が感じる「返却の面倒くささ」を徹底的に排除し、また使いたいと思わせる返却フローの設計方法について解説します。

目次

    なぜ「返却フロー」がレンタルECの成功を左右するのか

    行動経済学には「ピーク・エンドの法則」という考え方があります。これは、人が過去の経験を評価する際、「最も感情が動いたとき(ピーク)」と「物事が終わったとき(エンド)」の印象で全体を判断するというものです。

    レンタルサービスにおける「エンド」は、まさに商品の返却時です。どんなに商品が素晴らしくても、返却手続きが複雑でストレスを感じれば、顧客の記憶には「あのサービスは面倒だった」という印象が強く残ってしまいます。

    顧客が感じる「返却」の3大ストレス

    • 梱包材の準備:「届いた時の箱を捨ててしまった」「ガムテープがない」
    • 伝票の記入:「住所を書くのが面倒」「着払い伝票が手元にない」
    • 集荷の手配:「配送業者の営業所に行く時間がない」「集荷依頼の電話が繋がらない」

    これらを解消することが、選ばれるレンタルショップになるための第一歩です。

    物理的なストレスをなくす:梱包と配送の工夫

    まずは、物理的な手間を極限まで減らすための施策を見ていきましょう。

    1. リユース可能な梱包材の採用

    返却時に最も困るのが「箱」と「ガムテープ」の用意です。これを解決するために、往復利用を前提とした梱包材を採用しましょう。

    • マジックテープ式の通い箱:ガムテープ不要で封ができます。
    • ジッパー付きの強化ビニール袋:アパレル商品などに最適です。

    2. 伝票レス(QRコード)発送の活用

    顧客に宛名を書かせるのはNGですが、最近では「紙の伝票」すら不要にする方法があります。

    大手配送業者が提供する「デジタル返品・発送サービス」は、本来ECの返品(キャンセル)向けに開発されたものですが、実はレンタルの返却回収にも活用が進んでいます。

    方法メリットデメリット
    印字済み着払い伝票の同梱箱に貼るだけなので、スマホ操作が苦手な層にも親切。導入が容易。同梱し忘れのリスクや、紛失時の再発行の手間がある。
    QRコード発送(デジタル返品連携)スマホでQRを表示し、コンビニ等で発送可能。ペーパーレスでスマート。システム連携(API開発等)のコストがかかる場合がある。

    たとえばヤマト運輸のサービスでは、EC購入品の返品だけでなく「レンタル品の回収」も利用用途として明記されています。自社の規模に合わせて、こうした配送サービスの導入を検討するのも一つの手です。

    ※参考リンク:ヤマト運輸:デジタル返品・発送サービス

    精神的なストレスをなくす:情報と通知の設計

    次に、「いつまでに返せばいいの?」「延期したい場合はどうすれば?」といった心理的な不安を解消する仕組みです。ここで重要になるのが、Shopifyアプリなどを活用したシステム連携です。

    明確な返却期限の通知

    「レンタルGO」のようなアプリを導入している場合、顧客はカレンダーで直感的に期間を選択しています。しかし、商品到着後、返却日が近づくとついつい忘れがちになります。

    以下のようなタイミングで、自動メール(またはLINE通知)を送る設計にしましょう。

    • レンタル開始時:「商品は〇月〇日までにお手元から発送してください」と明記。
    • 返却日の3日前・前日:リマインドメール。「延長をご希望の場合はこちら」という導線もセットにすると親切です。

    Shopifyアプリ「レンタルGO」を活用したスムーズな運用

    Shopifyでレンタルサイトを構築する場合、アプリの選定が重要です。レンタルGOを活用すれば、以下のような顧客体験を提供しやすくなります。

    1. わかりやすいカレンダー予約

    返却フローの設計は「予約時」から始まっています。レンタルGOでは、Googleカレンダーのような直感的なUIでレンタル期間を選択できるため、顧客は「いつ返すべきか」を最初から明確に認識できます。

    2. 配送・返却バッファの設定

    運営側のメリットとして、商品が返却されてから次の貸出までのメンテナンス期間(バッファ)を設定可能です。これにより、無理なスケジュールで予約が入ることを防ぎ、余裕を持って返却対応の案内ができます。

    【チェックリスト】返却フロー改善のポイント

    貴社のレンタルサービスが「返却しやすい」状態になっているか、以下のリストで確認してみましょう。

    • 返却用の箱や袋は、顧客が再利用しやすいものか?
    • 返送用伝票(印字済み)は同梱されているか?
    • 「返却方法ガイド」のようなチラシ一枚が同梱されているか?
    • 返却期限のリマインドメールは自動化されているか?
    • 延長や延滞時のルールはわかりやすい場所に記載されているか?

    まとめ:返却の「楽さ」が次の注文を生む

    「返却が面倒」という課題を解決することは、単なるクレーム対策ではなく、強力なマーケティング施策です。

    物理的な梱包の工夫と、Shopifyアプリ「レンタルGO」などを活用したシステム的なサポートを組み合わせることで、顧客に「また借りたい」と思わせる快適なレンタル体験を提供しましょう。

    これからShopifyでレンタル事業を始める方、現在のオペレーションを見直したい方は、ぜひ機能豊富なレンタルGOの導入を検討してみてください。

    📢 Shopifyでレンタル事業を加速させるなら

    レンタル事業の立ち上げや、Shopifyでのアプリ活用についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

    >> レンタルGOの機能詳細・インストールはこちら

    この記事の監修者

    株式会社ミライガタリ代表取締役 上岡裕
    多数のレンタル事業者のECサイト構築を手がけ、業界に特化した豊富な実績を持つ。EC構築、アプリ構築の知見を土台に商工会議所等の相談員講師として活動し、多くの事業者のサポートを行う。事業のDX化による経営改善が得意領域。
    レンタル事業の社会的、経営的強さに魅せられEC構築サービス『レンタルGO』発案、開発。自身が代用を務める株式会社ミライガタリにてサービスを提供中。
    都城工業高等専門学校卒。1児の父。