
Shopifyでモール型レンタルサイトを構築する新常識
近年、特定のジャンルに特化した「モール型ECサイト(マーケットプレイス)」が注目を集めています。例えば、「キャンプ用品専門のレンタルモール」や「結婚式アイテムの総合レンタルサイト」など、複数のショップが商品を持ち寄り、一つの大きなプラットフォームとして機能する形です。
これまで、こうしたモール型サイトを構築するには、複雑なシステム開発や高額なマルチベンダーアプリの導入が必要でした。しかし、Shopifyが提供する新機能「Shopify Collective(ショッピファイ コレクティブ)」を活用することで、驚くほど低コストかつスピーディーにモール展開が可能になりつつあります。
本記事では、Shopify Collectiveを活用したモール型レンタルサイトの作り方と、レンタル事業において不可欠なアプリ「レンタルGO」との連携について解説します。
Shopify Collectiveとは?
Shopify Collectiveは、Shopifyを利用しているショップ同士が簡単につながり、互いの商品を販売できる機能です。
大きく分けて以下の2つの役割があります。
- 小売業者(Retailer): 他のショップ(サプライヤー)の商品を自社サイトに掲載し、販売する側。在庫リスクを持たずに品揃えを拡充できます。これが「モール運営者」の立ち位置になります。
- サプライヤー(Supplier): 自社商品を他のショップ(小売業者)に提供する側。販路を拡大し、新規顧客を獲得できます。これが「モールに出店するテナント」の立ち位置になります。
この機能の最大の特徴は、「商品データが自動同期される」点と、「注文が入るとサプライヤーに直送依頼が飛ぶ(ドロップシッピング形式)」点です。
モール型レンタルサイト構築のメリット
レンタル事業において、Shopify Collectiveを活用したモール展開には大きなメリットがあります。
| メリット | 詳細 |
|---|---|
| 在庫リスクゼロ(小売側) | モール運営者は在庫を持つ必要がありません。集客とサイト運営に専念し、商品は各レンタル店(サプライヤー)が管理します。 |
| 専門性の強化 | 「アウトドア」「撮影機材」「パーティ」など、特定のテーマで複数のショップを集めることで、ユーザーにとって魅力的なポータルサイトを作れます。 |
| 販路の拡大(サプライヤー側) | レンタル店は、自社サイトだけでなく、有力なモールサイト経由でも予約を受け付けられるようになり、稼働率アップが期待できます。 |
Shopify Collectiveによる構築手順
実際にShopify Collectiveを使ってモール型の動きを作る基本的な流れは以下の通りです。
1. アプリの導入と設定
まず、モール運営者(小売業者)と出店者(サプライヤー)の双方が、Shopify管理画面から「Shopify Collective」を有効にする必要があります。
※日本国内でも利用可能ですが、通貨設定やプランなどの要件を満たしている必要があります。
2. サプライヤーとの連携
モール運営者は、提携したいレンタルショップ(サプライヤー)に招待を送ります。サプライヤーが承認すると、連携が完了します。
3. 商品のインポート
サプライヤーが「共有設定」にしたレンタル商品リストを、モール運営者が確認し、自社サイト(モール)にインポートします。これで、モール上に他社の商品が並びます。
🚨 Shopifyの規約上の注意点:純粋なモール型運用は禁止されている
Shopify Collectiveを活用する前に、Shopifyの基本的なルールを確認しておく必要があります。
Shopifyは、ストアオーナーが他の出店者(サプライヤー)の売上を一旦集め、そこから手数料や賃料を差し引いて出店者へ送金する、という純粋な「決済代行・資金分配」を伴うモール型(マーケットプレイス)の運用を原則として禁止しています。これは、主に決済機能である「Shopify Payment」の利用規約(Restricted Use)で制限されています。
この規約が存在するため、高額なマルチベンダーアプリを使用しても、Shopify Paymentを介して出店者への資金分配を行うことは避けるべきです。
Shopify Collectiveが規約をクリアできる理由
Shopify Collectiveは、この規約上の問題を回避しつつ、モール的な運用を実現する仕組みです。
- モール運営者(小売業者)は、サプライヤーの商品をインポートする際に、あたかも「自社が仕入れた商品」として扱うことができます。
- 注文と決済はモール運営者のストアで完了しますが、売上からサプライヤーへの支払いは、**「卸売価格での取引」**という形で行われます。
これにより、モール運営者は「自社の販売」として処理でき、Shopify Paymentの規約に抵触しにくい運用が可能です。ただし、あくまで「在庫を持たないセレクトショップ」モデルであることを理解して運用する必要があります。
レンタル事業における注意点とレンタルGOの役割
ここで非常に重要なポイントがあります。通常の物販と異なり、レンタルには「貸出期間(カレンダー)」と「返却管理」が必要です。
Shopify Collectiveは基本的に「商品データ(タイトル、画像、価格、在庫数)」を同期しますが、「レンタル予約カレンダー機能」までは、現時点で完全には同期されません。
そのため、モール型レンタルサイトを成功させるには、以下の運用フローが推奨されます。
サプライヤー側でのレンタルGO導入が必須
モール経由で注文が入ったとしても、実際に商品を発送し、返却を受け付けるのはサプライヤー(出店者)です。
サプライヤーは、自社のShopifyストアにレンタル管理アプリ「レンタルGO」を導入し、在庫のスケジュールを正確に管理しておく必要があります。
- 在庫のバッティング防止: 自社サイトでの予約と、モール経由の注文が重ならないよう、レンタルGOで在庫数を厳密に管理します。
- 配送・延滞管理: 商品発送後の追跡や、延滞時の対応はレンタルGOの管理画面で行います。
運用のアドバイス:
モール側(小売業者)のサイトでは、Shopify Collectiveの仕様上、カレンダー選択機能が表示されない場合があります。その場合、モール側の商品ページに「希望利用日」を記入する備考欄を設けるか、あるいはモールはあくまで「カタログ」として機能させ、決済や予約確定はサプライヤー側のサイトへ誘導する構成(アフィリエイト形式に近い運用)も検討の余地があります。Shopify Collectiveのアップデートにより機能が拡張される可能性があるため、最新の仕様を確認しながら構築しましょう。
まとめ:Shopifyで広がるレンタルの可能性
Shopify Collectiveを活用すれば、在庫を持たずに「レンタル商材のセレクトショップ」や「専門モール」を立ち上げることが可能です。
そして、その裏側で物流と予約管理を支えるのがレンタルGOです。
「自社商品を他のモールでも取り扱ってもらいたい」と考えているレンタル事業者様は、まず自社のオペレーションをレンタルGOで自動化・効率化し、Shopify Collectiveでの外部連携に備えてみてはいかがでしょうか。
レンタルGOでは、こうした複雑な連携やアプリ導入に関するご相談も承っております。
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