POSレジと在庫管理システムの連携で実現する、店舗運営の効率化

実店舗とECサイト(ネットショップ)を同時に運営する際、多くの事業者が目指すのが「POSレジ」と「在庫管理システム」の完全な連携です。

しかし、レンタル事業においては、この連携が一筋縄ではいきません。一般的な小売業のPOSシステムは「在庫の数」を管理することはできても、「いつからいつまで貸し出すか」という「期間(スケジュール)」を管理する機能を持っていないからです。

その結果、多くの店舗で以下のような「情報の分断」が起こります。

  • ECサイト:システムで予約管理(デジタル)
  • 実店舗:POSで管理できないため、紙の予約台帳やExcelで管理(アナログ)

この状態では、ECサイト側のシステムは「店舗で今、予約が入ったこと」を知る術がありません。その結果、Web上では「在庫あり」と表示され続け、ダブルブッキング(重複予約)が発生してしまうのです。

本記事では、まず一般的なPOS連携の仕組みを整理した上で、レンタル事業特有の「期間管理の壁」をどう乗り越え、Shopifyアプリ「レンタルGO」で効率化を実現するかについて解説します。

目次

    一般的な小売業における「POS連携」の仕組み

    まず前提として、通常の物販(小売業)におけるPOSレジと在庫管理システムの連携がどのように機能しているかを確認しましょう。仕組みは非常にシンプルです。

    • 店舗で売れる:レジで商品をスキャンして会計する。
    • 在庫が減る:連携システムが即座に在庫数を「−1」する。
    • Webに反映される:ECサイト上の在庫数も自動的に減り、完売なら「売り切れ」になる。

    このように、物販では「在庫数(個数)」の増減だけをリアルタイムに同期すればよいため、既存のPOSシステム連携だけで「店舗とECの売り越し」を完全に防ぐことができます。

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    なぜ、レンタル事業ではPOS連携がうまくいかないのか

    一方で、レンタル事業になると、既存のPOS連携だけでは在庫管理が破綻してしまいます。

    「個数」ではなく「期間」の管理が必要だから

    レンタルにおいて在庫管理で最も重要なのは、「いま在庫がいくつあるか」ではなく、「未来のどの期間に、在庫が空いているか」というスケジュール情報です。

    通常のPOSレジは「会計=在庫を減らす」という処理は得意ですが、「3日後に返却されるから、4日後には在庫を復活させる」といった、時間軸を持った在庫ステータスの管理には対応していません。

    POSが対応していないため、アナログ管理に逆戻りする

    POSレジで期間管理ができない以上、現場では「紙の台帳」や「カレンダー」を使って手動でスケジュールを管理せざるを得ません。

    しかし、アナログな管理情報はWebサイトと連動しません。これが、「店舗の予約状況がWebに反映されず、ダブルブッキングが起きる」という構造的な原因です。

    解決策:Shopifyと「レンタルGO」で管理を集約する

    この問題を解決するには、店舗もWebも、「期間管理に対応した同じデータベース(Shopify)」で情報を管理する必要があります。

    そこで有効なのが、Shopifyアプリ「レンタルGO」を活用した運用です。
    レンタルGOは、Shopify上で「期間指定」の予約を受け付けるアプリですが、実店舗の運用に取り入れることで、POSの弱点を補完し、店舗とECの情報を同じ場所で管理できます。

    具体的には、上位プランで利用可能な「店舗受取」機能を活用します。

    店舗受取機能のメリット

    • 送料・梱包の手間なし:お客様が来店するため、配送コストがゼロになります。
    • 在庫情報のデジタル化:店舗での予約情報が即座にShopify上に記録されるため、アナログ管理による抜け漏れが防げます。

    実店舗オペレーション:「擬似POS」としての活用法

    「レンタルGO」はPOSレジアプリそのものではありませんが、店舗のタブレット端末でWebブラウザ経由で操作することで、擬似的なPOS(予約端末)として機能させることができます。

    具体的なフローは以下の通りです。

    1. 店頭端末で予約を入れる

    来店されたお客様が商品を選んだら、スタッフ(またはお客様)が店頭のタブレットで自社のオンラインストアを開きます。

    商品ページのカレンダーから「今日〜◯日まで」を選択し、配送方法で「店舗受取」を選んで、その場で注文(予約)を完了させます。

    【設定上の重要ポイント】配送用在庫と店頭用在庫は分ける
    即日レンタルに対応するためには、設定で「配送準備期間」を「0日」にする必要があります。しかし、配送商品を0日に設定してしまうと発送準備ができなくなります。

    そのため、「店頭受取用の在庫」と「配送用の在庫」は全く別物として管理する必要があります
    Shopify上でも「(店頭用)商品A」「(配送用)商品A」のように商品を明確に分けて登録し、それぞれの在庫数を厳密に管理してください。

    2. 顧客情報は「メモ」で紐付ける

    店頭でのスピードを優先し、スタッフが店舗用アカウントで代理入力を行う場合、Shopify上にはお客様の個人情報が残りません。

    その場合は、別途ご記入いただいた紙の申込書の情報を、接客が落ち着いたタイミングでShopifyの「注文メモ」欄やアプリ内のメモ欄に入力します。
    これにより、後から参照可能なデジタルデータとして一括管理することができます。

    導入前後の比較

    項目導入前(POSと紙台帳の併用)導入後(レンタルGOでの一括管理)
    在庫管理紙とWebでバラバラShopify上でまとめて管理
    ダブルブッキング情報の分断により発生同一システム管理で防止
    情報の鮮度手動更新でタイムラグあり常に最新の空き状況を共有

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    実店舗とECの垣根をなくし、機会損失を防ぐ

    店舗運営の効率化とは、単にレジ打ちを速くすることだけではありません。お客様が「借りたい」と思った瞬間に、正確な在庫情報を提供し、スムーズに貸し出しができる環境を整えることです。

    Shopifyと「レンタルGO」を組み合わせれば、Web予約のお客様も、ふらっと来店された即日レンタルのお客様も、同じ在庫データベースで安全に管理することができます。

    次のステップ:店舗受取機能を試してみる

    もし実店舗でのレンタル運用において、在庫の管理ミスやアナログな台帳管理に限界を感じているなら、「レンタルGO」の導入を検討してみてください。

    店舗受取機能を活用したOMO(Online Merges with Offline)施策は、今後の店舗ビジネスにおいて強力な武器となるはずです。

    レンタルGOの詳細を見る

    この記事の監修者

    株式会社ミライガタリ代表取締役 上岡裕
    多数のレンタル事業者のサポートを行い、業界に特化した豊富な実績を持つ。自身が代表を務める株式会社ミライガタリにてレンタル事業EC構築サービス『レンタルGO』を提供中。
    ECサイト構築、予約アプリ/マッチングアプリ等のプロダクト開発を手がける中、商工会議所等の相談員講師としても活動し、多くの事業者のマーケティング支援、DX化による経営改善等を行う。
    都城工業高等専門学校卒。1児の父。