
「長年続けてきた事業だが、赤字が続いて限界に近い」「撤退すべきか、もう少し粘るべきか判断がつかない」
経営者にとって、事業の撤退や売却は創業以上に重く苦しい決断です。しかし、判断が遅れるほど会社の資産は目減りし、再起のチャンスすら失ってしまうリスクがあります。
この記事では、赤字事業における「撤退・譲渡の判断基準」と、「損害を最小限に抑えるための具体的な方法」について解説します。
また、単に在庫を処分して終わるのではなく、既存の商品資産を活用して「レンタル事業へピボット(業態転換)する」という、資産価値を守るための第三の選択肢についてもご紹介します。
事業撤退・譲渡を検討すべき3つの判断基準(撤退ライン)
「いつか黒字化するはずだ」という希望的観測は、時に傷口を広げます。感情を排し、客観的な数値に基づいて判断するための「撤退ライン」を設けることが重要です。
1. 限界利益が3期連続でマイナス、または改善の見込みがない
売上から変動費を引いた「限界利益」が赤字である場合、商品を売れば売るほど赤字が増える状態です。これが一時的な要因ではなく、構造的な問題(市場の縮小、競合の台頭など)によるものであれば、早期の撤退が必要です。
2. 資金繰りが限界(キャッシュフローの枯渇)
黒字であっても現金が回らなければ倒産します(黒字倒産)。「あと半年で資金が尽きる」というライン(デッドライン)を明確にし、その時点までに再建の目処が立たなければ、余力があるうちに撤退や譲渡を決断する必要があります。
3. 本業とのシナジーがなくなり、リソースを圧迫している
多角化で始めた事業が、本業の人的リソースや資金を食いつぶしているケースです。選択と集中の観点から、その事業単体での収益性だけでなく「会社全体への悪影響」を判断基準にします。
損害を最小限に抑えて撤退する方法:M&A(株式譲渡)と事業譲渡の違い
事業をやめる=廃業(会社を畳む)だけではありません。従業員の雇用を守り、手元に資金を残すためには、他社への売却が有効な手段となります。ここで重要になるのが、「M&A(株式譲渡)」と「事業譲渡」の違いです。
会社ごと売る「M&A(株式譲渡)」
会社の所有権(株式)を丸ごと第三者に譲渡する方法です。従業員の雇用や契約関係をそのまま引き継げるメリットがありますが、赤字事業以外の「負債」や「簿外債務」も買い手が引き継ぐことになるため、経営状態が悪い場合は買い手が見つかりにくい傾向にあります。
事業だけを売る「事業譲渡」
会社は残したまま、特定の「事業(商品在庫、顧客リスト、ノウハウ、設備)」だけを選んで売却する方法です。
赤字事業の撤退においては、こちらの「事業譲渡」がよく選ばれます。買い手企業にとっては、必要な資産だけを引き継ぎ、不要な負債を負わなくて済むため、M&A(株式譲渡)よりも成立しやすいメリットがあります。
第三の選択肢:在庫を資産に変える「レンタル事業」への転換
もし、事業譲渡先がすぐに見つからない場合、あるいは在庫の評価額が低すぎて二束三文にしかならない場合、「レンタル事業」として再構築できないか検討してみてください。
なぜ撤退前に「レンタル化」を検討すべきなのか
- 資産価値の維持:新品として売れなくても、「レンタル品」としてなら需要がある商品は多くあります。
- キャッシュフローの改善:一度売って終わりの販売モデルとは異なり、1つの商品を何度も貸し出すことで、継続的に収益を積み上げることができます。
- 事業価値の向上:レンタルによる収益実績を作ることで、将来的に事業譲渡をする際、単なる「在庫の山」ではなく「収益を生む事業」として高く評価される可能性があります。
「そのまま購入」機能で在庫処分の出口を作る
Shopifyアプリ「レンタルGO」を活用すれば、商品をレンタルとして貸し出し、気に入ったらその商品をレンタル後に買い取ってもらう「そのまま購入」という販売手法が可能になります。
- 購入のハードルを下げる:「いきなり購入するのは不安」という高額商品でも、レンタルで試してからなら購入につながりやすくなります。
- 適正価格での売却:リサイクルショップへの一括売却(買取)では原価を大きく割ってしまいますが、レンタル後の「そのまま購入」であれば、一般販売価格に近い価格で在庫を消化できます。
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Shopify × レンタルGOで低コストに再出発
「撤退を考えているのに、新しいシステム投資なんてできない」とお考えかもしれません。しかし、Shopifyと「レンタルGO」の組み合わせであれば、大規模なシステム開発は不要です。
Web完結でスモールスタートが可能
Shopifyでオンラインストアを構築し、レンタルGOアプリをインストールするだけで、本格的なレンタル予約サイトが立ち上がります。
実店舗をお持ちの場合でも、Webブラウザを使用した管理画面操作で、擬似的に店舗での貸出対応を管理することが可能です。
まずは小規模に、既存の在庫を活用してレンタル事業の実証実験(PoC)を行ってみるのも一つの手です。そこで収益化の兆しが見えれば、事業を継続する根拠にもなり得ます。
まとめ:撤退は「終わり」ではなく「変化」のチャンス
赤字事業からの撤退は、痛みを伴う決断です。しかし、早めの決断と正しい戦略があれば、損害を最小限に抑えるどころか、新しいビジネスモデルへと進化させることも可能です。
手元にある在庫資産を安易に廃棄せず、「レンタル」という形で収益化できないか。事業譲渡の価値を高めるために「そのまま購入」を取り入れられないか。
厳しい局面だからこそ、Shopifyと「レンタルGO」を活用した低コストなピボット(方向転換)を検討してみてはいかがでしょうか。
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