
「売上は伸びているのに、なぜか手元に現金が残らない」
「利益率が高いはずの商品が、実は会社の利益を圧迫している気がする」
ECサイトやレンタル事業を運営する中で、このような違和感を抱いたことはないでしょうか。その原因は、従来の「どんぶり勘定」な原価計算では見えなかった「間接コスト」にあるかもしれません。
特にレンタル事業は、配送、検品、クリーニング、在庫管理といった「活動(アクティビティ)」が複雑に絡み合うビジネスモデルです。ここで役立つのが、ABM(Activity Based Costing:活動基準原価計算)という手法です。
本記事では、ABMの基礎知識から、レンタル・EC事業における活用法、そして「隠れ赤字」を解消して本当に儲かる商品や顧客を見極めるための具体的なアプローチを解説します。
ABM(活動基準原価計算)とは?従来の計算との決定的な違い
ABM(Activity Based Costing)とは、商品の製造やサービスの提供にかかったコストを、「活動(アクティビティ)」ごとに細分化して割り当てる原価計算の手法です。
従来の原価計算とABMには、コストの配分方法に大きな違いがあります。
従来の原価計算:曖昧な「一律配賦」
従来の手法では、人件費や地代家賃、光熱費などの「間接費」を、売上高や労働時間などの基準で一律に配分(配賦)していました。
- 例:全商品の間接費を「売上の10%」として一律計上する。
この方法では、手間がかからない商品も、手間がかかる商品も同じコスト負担とみなされるため、「手間がかかる商品のコストが過少評価」され、「手間がかからない商品のコストが過大評価」されるという歪みが生じます。
ABM:実態に即した「活動基準」
一方、ABMではコストが発生する「活動」に着目します。
- 注文処理回数
- 配送・梱包回数
- 検品・メンテナンス時間
- カスタマーサポート対応件数
これらの活動量(コストドライバー)に応じてコストを割り当てるため、「どの商品がどれだけリソースを消費したか」を正確に把握できます。
ポイント
ABMを導入することで、「売上は高いが、手間がかかりすぎて実は赤字の商品」や、「地味だが、手間がかからず高収益な商品」を可視化できます。
原価計算の基礎や、レンタル事業特有のコスト構造については、以下の記事でも詳しく解説しています。
【保存版】レンタル事業の利益率を5%改善する原価計算とコスト削減術
なぜ今、レンタル・EC事業にABMが必要なのか
物販だけでなく、特にレンタル事業においてABMが重要視される理由は、「活動(アクティビティ)の多さ」にあります。
1. 「往復」のアクティビティが発生する
売り切り型のECとは異なり、レンタル事業は商品が戻ってきます。そのため、「発送」だけでなく「返却受付」「検品」「クリーニング」「再在庫化」といったプロセスが注文ごとに発生します。
これらのコストを単純に「売上比」で計算していると、回転率が高い(頻繁に貸し借りされる)商品ほど、実際の管理コストを見誤るリスクが高まります。
2. 「隠れ赤字顧客」の存在
ABMの視点は商品だけでなく、顧客分析にも有効です。
- Aさん:Webから即予約し、トラブルなく期日通りに返却する。
- Bさん:電話で何度も問い合わせをし、返却時に汚れがあり、延滞連絡が必要になる。
売上金額が同じでも、Bさんへの対応コスト(人件費)はAさんの数倍になる可能性があります。ABMを用いることで、このような「利益を圧迫している取引」を特定し、サービス内容や価格設定の見直しにつなげることができます。
【経営者必見】レンタル事業で「儲からない」と言われる本当の理由と失敗する企業の特徴
ABM導入で利益体質へ変える3つのステップ
では、実際にどのようにABM的な思考を事業に取り入れればよいのでしょうか。大掛かりな会計システムを導入せずとも、以下のステップで意識を変えるだけで効果があります。
STEP 1:主なアクティビティ(活動)を洗い出す
自社の業務フローの中で、時間やコストがかかっている活動をリストアップします。
- 受注処理(メール送信、入金確認)
- ピッキング・梱包
- 配送手配
- 返却品の検品・清掃
- 在庫管理・棚卸し
- 問い合わせ対応
STEP 2:コストドライバー(配分基準)を決める
それぞれのアクティビティにかかるコストを、何に基づいて配分するかを決めます。
| 活動(アクティビティ) | コストドライバー(基準) |
|---|---|
| 受注処理 | 注文1件あたり |
| 配送・梱包 | 発送個数あたり |
| 検品・清掃 | レンタル回数 × 作業時間 |
| 保管 | 商品サイズ(占有スペース) |
STEP 3:商品ごとの真の利益を計算する
この基準を用いて計算すると、例えば「大型で清掃が大変なキャンプ用品」と「小型でメンテナンスフリーなカメラ」では、同じレンタル価格でも利益構造が全く異なることが見えてくるはずです。
コストの配分ができたら、次は「コストがかかる活動そのものを削減・効率化」するフェーズに移ります。
システム活用で「高コストな活動」を自動化・削減する
ABMでコスト構造を可視化した後は、利益を圧迫している「無駄な活動」を削ぎ落とすことが重要です。ここで、Shopifyとレンタル専用アプリ「レンタルGO」のようなシステムを活用した解決策が役立ちます。
在庫・注文管理の自動化で「処理コスト」を下げる
レンタル事業で最も人件費(活動コスト)がかかるのが、アナログな在庫管理です。Excel台帳と予約メールを見比べながらの手動管理は、ミスを誘発するだけでなく、修正対応という「利益を生まない時間」を増大させます。
レンタルGOを導入することで、以下の活動をシステム化できます。
- 在庫のリアルタイム連携:注文完了と同時に在庫が確保されるため、ダブルブッキングの確認作業が不要になります。
- 配送準備リストの自動化:日々の発送・返却予定が管理画面で可視化され、確認作業の時間を短縮します。
これらの管理業務(アクティビティ)にかかる時間を削減できれば、その分だけ商品1つあたりの間接コストが下がり、利益率は向上します。
Shopifyの在庫管理を効率化する方法とは?おすすめアプリやツール
レンタルGOの「そのまま購入」でメンテナンスコストを回避する
ABM分析の結果、「返却後の検品・クリーニングコスト」が利益を圧迫している商品が見つかることがあります。そうした商品に対しては、レンタルGO(上位プラン)で利用可能な「そのまま購入」機能を活用し、レンタル後にユーザーが商品を買い取れるオプションを提示するのも一つの戦略です。
- 事業者:返却時の検品・清掃コストがゼロになり、販売利益が確定する。
- 利用者:気に入った商品をそのまま使い続けられる。
高コストな「返却プロセス」自体をスキップさせることで、利益率を大幅に改善できる可能性があります。
Shopifyのデータ分析で「本当に儲かる商品」を発見する
Shopifyには強力なストア分析機能が備わっています。「レンタルGO」を通じて蓄積された受注データと組み合わせることで、以下のような分析が容易になります。
- 高回転率商品の特定:どの商品が頻繁にレンタルされているか。
- LTV(顧客生涯価値)の分析:どの顧客層がリピートし、利益をもたらしているか。
感覚ではなくデータに基づいて、「在庫を増やすべき商品」と「取り扱いを中止すべき商品(隠れ赤字商品)」を正確に判断することが、筋肉質な経営体質を作る近道です。
まとめ:見えないコストを可視化し、次の成長へ
ABM(活動基準原価計算)は、単なる計算手法ではなく、事業の無駄を発見し、利益構造を変革するためのフレームワークです。
「手間ばかりかかって儲からない」という状況を脱却するには、まずコストの発生源である「活動」を見直し、システムを活用して効率化することが不可欠です。ShopifyとレンタルGOを活用して、管理コストを最小限に抑えつつ、利益を最大化できるレンタルサイトを構築してみてはいかがでしょうか。
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