レンタル品の魅力を伝える「ささげ業務」(撮影・採寸・原稿)完全マニュアル

レンタルビジネスの成否を分ける「ささげ業務」とは?

ECサイト運営において、切っても切り離せない業務が「ささげ」です。アパレルや物販などのEC業界では一般的な用語ですが、実はレンタルECにおいてこそ、その重要性は極めて高いと言われています。

「ささげ」とは、以下の3つの業務の頭文字を取った言葉です。

  • さ:撮影(さつえい)…商品の写真を撮る
  • さ:採寸(さいすん)…商品のサイズを測る
  • げ:原稿(げんこう)…商品説明文を書く

なぜレンタルにおいて「ささげ」が重要なのでしょうか?
それは、レンタルを利用するユーザーが「新品ではない商品(誰かが使ったもの)を利用する不安」「返却時のルールに対する不明点」を抱えているからです。

本記事では、レンタルECに特化した「売れる(借りられる)ささげ業務」のノウハウを徹底解説します。

目次

    「販売」と「レンタル」のささげ業務の違い

    単に商品を売る場合と、一定期間貸し出す場合では、ユーザーに伝えるべき情報の優先順位が異なります。以下の比較表で違いを確認しましょう。

    業務一般的な販売EC(Sell)レンタルEC(Rental)
    撮影ブランドの世界観、新品としての美しさ付属品の有無(セット内容)、使用感(傷・汚れ)、梱包姿
    採寸商品そのもののサイズスペック収納時のサイズ、設置に必要なスペース
    原稿素材、機能、スペック詳細状態ランク、レンタル期間、利用シーン、返却方法

    このように、レンタルECでは商品の魅力だけでなく「安心感」と「利用の仕組み」を可視化することが、コンバージョン(予約)獲得への鍵となります。

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    「さ(撮影)」:付属品とコンディションを可視化する

    レンタル商品の撮影で最も重要なのは、「何が届くのか」と「どの程度の状態なのか」を嘘偽りなく伝えることです。

    1. 「お届けセット内容」の集合写真

    レンタル品の場合、本体だけでなく、充電器、ケーブル、専用ケースなどの付属品が同梱されることが一般的です。
    ユーザーは「これを借りれば、すぐに使えるのか?(他に自分で用意するものはあるか?)」を気にしています。

    これらを解消するために、イメージ写真だけでなく「お届けするすべてのアイテムを並べた1枚」を必ず撮影し、掲載しましょう。

    2. 傷や使用感のクローズアップ

    リユース品をレンタルする場合、小さな傷や使用感は避けられません。
    これらを隠して綺麗な写真だけを掲載すると、商品到着後に「思っていたより汚い」というクレームに繋がります。

    あえて目立つ傷や、経年劣化しやすい部分(ハンドルの擦れなど)を撮影し、「この程度の使用感があります」と事前に提示することが、結果的に長期的な信頼構築に繋がります。

    「さ(採寸)」:トラブルと返品を防ぐための計測

    「サイズが合わなくて使えなかった」という事態は、レンタルビジネスにおいて最も避けたいトラブルの一つです。特にイベント用品や旅行用品などは、代替品の手配が間に合わないことが致命的になります。

    使用時サイズだけでなく「収納時サイズ」を測る

    家具や家電、キャンプ用品のレンタルでは、展開した時の大きさ(使用時サイズ)だけでなく、「収納時のサイズ(梱包サイズ)」が非常に重要です。

    • 車のトランクに入るか?
    • マンションのエレベーターに乗るか?
    • 自宅の玄関を通るか?

    ユーザーが受け取りや運搬を行う際に判断基準となる寸法を正確に計測し、記載しましょう。

    「げ(原稿)」:スペックよりも「体験」と「ルール」を書く

    商品説明文(原稿)は、SEO対策の要であり、接客の代わりとなる部分です。スペックの羅列になりがちですが、レンタルならではの工夫が必要です。

    1. コンディションランクの定義

    商品の状態をテキストでランク付けし、その定義を明確にします。

    【状態ランク:A】
    新品同様。目立つ傷はなく、機能に問題はありません。
    【状態ランク:B】
    通常使用による細かなスレがありますが、撮影や使用には影響ありません。

    このようにショップとしての基準を設けることで、ユーザーの期待値を適切にコントロールできます。

    2. レンタル特有のルール明記

    原稿作成時に忘れてはならないのが、レンタルのルールです。

    • 延滞した場合はどうなるのか?
    • 汚してしまった場合の補償はあるか?
    • 返却時の梱包方法は?(届いた箱に戻すだけか、など)

    これらを商品ページ内に記載するか、FAQへのリンクとして明記することで、問い合わせ対応のコストを大幅に削減できます。

    参考リンク:ささげ業務はECサイト運営の要(ECのミカタ)

    まとめ:完璧な「ささげ」ができたら、次はシステムで管理

    魅力的な写真、正確なサイズ、安心できる原稿。これら「ささげ」の質を高めれば、ユーザーは「借りたい!」と思います。
    しかし、最後に立ちはだかるのが「在庫とスケジュールの管理」です。

    • 「この期間だけ借りたい」という期間指定
    • 「在庫はあといくつある?」というリアルタイムな在庫状況
    • 返却リードタイムの考慮

    こうしたレンタル特有の複雑な予約注文を、Shopifyで簡単に実現できるアプリが「レンタルGO」です。
    「ささげ業務」で商品の魅力を最大化し、「レンタルGO」でスムーズなカレンダー予約体験を提供する。この両輪を回すことで、レンタルECの売上は大きく飛躍します。

    レンタルGOの機能を詳しく見る

    この記事の監修者

    株式会社ミライガタリ代表取締役 上岡裕
    多数のレンタル事業者のECサイト構築を手がけ、業界に特化した豊富な実績を持つ。EC構築、アプリ構築の知見を土台に商工会議所等の相談員講師として活動し、多くの事業者のサポートを行う。事業のDX化による経営改善が得意領域。
    レンタル事業の社会的、経営的強さに魅せられEC構築サービス『レンタルGO』発案、開発。自身が代用を務める株式会社ミライガタリにてサービスを提供中。
    都城工業高等専門学校卒。1児の父。