なぜ今、異業種から「レンタル事業」への参入が注目されるのか?

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「所有から利用へ」—この価値観の変化は、もはや一時的なトレンドではありません。シェアリングエコノミー市場の拡大を背景に、多くの企業が新たな成長戦略として「レンタル事業」に熱い視線を送っています。

特に注目すべきは、これまでレンタルとは無縁だった異業種のトップ企業が、自社の強みを活かして参入し、大きな成功を収めている事実です。彼らは単にモノを貸し出すだけでなく、本業との相乗効果(シナジー)を生み出し、新たな顧客体験を創造しています。

この記事では、情報の鮮度と正確性を重視し、【2025年最新版】として、現在も成長を続ける異業種からのレンタル事業成功事例を3つ厳選。各社の戦略を深掘りし、これからのビジネスのヒントを探ります。

目次

    【2025年最新版】異業種からのレンタル事業参入!成功事例3選

    業界の常識を覆し、新たな市場を切り拓いた3社の事例を見ていきましょう。

    1. 【通信キャリア × カーシェアPF】株式会社NTTドコモ「dカーシェア」

    日本の通信業界を牽引するNTTドコモ。同社が手掛ける「dカーシェア」は、自社で車両を保有せず、複数のカーシェア事業者やレンタカー会社と提携する「プラットフォーム型」のサービスです。

    成功のポイント

    • 圧倒的な会員基盤の活用:9,000万人を超える「dアカウント」会員をそのまま顧客基盤とし、スピーディーな事業拡大を実現しました。
    • ワンストップの利便性:アプリ一つで複数の事業者の車を検索・予約・利用できる手軽さが、ユーザーに支持されています。
    • 決済システムとの連携:dポイントが貯まる・使えるなど、ドコモの経済圏との連携で独自の付加価値を提供しています。

    通信キャリアの強みである巨大な顧客基盤とブランドの信頼性を活かし、競争の激しいモビリティ市場で独自の地位を確立した見事な戦略です。

    2. 【製造業 × バイクレンタル】ヤマハ発動機株式会社「ヤマハ バイクレンタル」

    世界的なバイクメーカーであるヤマハ発動機は、全国の販売店ネットワークを活用し、自社ブランドのバイクをレンタルできる「ヤマハ バイクレンタル」を展開しています。

    成功のポイント

    • 本業への強力なシナジー:「購入前の試乗」や「ツーリングでの利用」といった需要を喚起し、未来の顧客育成と販売促進に直結させています。
    • 販売店ネットワークの活用:全国の「YSP」などの販売店を貸出・返却の拠点とすることで、ユーザーの利便性を高めると同時に、販売店の活性化にも繋げています。
    • メーカーならではの品質と安心感:メンテナンスの行き届いた高品質な車両を提供することで、ブランドイメージを向上させています。

    メーカー自らがレンタルを手掛けることで、「買って所有する」以外の新たなバイクとの関わり方を提案し、市場全体を活性化させている好例です。

    3. 【IT/コンサル × ファッション】株式会社エアークローゼット「airCloset」

    月額制でプロのスタイリストが選んだ洋服が届く—。この画期的なサービス「airCloset(エアークローゼット)」は、創業者がITコンサルティング出身という、アパレル業界の外からの視点で生まれました。

    成功のポイント

    • 「体験価値」の提供:単に服を貸すのではなく、「プロが自分に似合う服を選んでくれる」というパーソナルな体験を提供し、熱心なファンを獲得しました。
    • データとテクノロジーの徹底活用:利用者のフィードバックデータをAIで解析し、スタイリングの精度を常に向上させる仕組みが事業の核となっています。
    • アパレル業界の課題解決:需要を予測し、効率的に衣服を循環させることで、アパレル業界が抱える大量廃棄問題の解決にも貢献しています。

    ファッションという情緒的な世界に、データドリブンなITの強みを持ち込み、新しいビジネスモデルを確立した異業種参入の代表格と言えるでしょう。

    異業種参入を成功に導く「3つの共通点」

    今回ご紹介した3社の成功事例には、業界は違えど、重要な共通点が見られます。

    成功の共通点解説
    1. 既存アセット(資産)の最大活用ドコモの会員基盤、ヤマハの販売網と製品、エアークローゼットの技術力など、各社が元々持っている「強み」をレンタル事業の核に据えています。
    2. 本業との強力なシナジー創出レンタル事業が単体で完結するのではなく、本業の販売促進(ヤマハ)や経済圏の強化(ドコモ)に繋がり、企業全体の成長を加速させています。
    3. テクノロジーによる体験価値の向上使いやすいアプリ(dカーシェア)やAIによるパーソナライズ(airCloset)など、テクノロジーを駆使して顧客の利便性や満足度を高めることが成功の鍵です。

    まとめ:レンタル事業参入は「自社の再発見」から始まる

    異業種からのレンタル事業参入は、単なる多角化戦略ではありません。それは、自社が持つ本当の強み=アセットは何かを再発見し、時代のニーズに合わせて新しい価値を提供するプロセスです。

    今回ご紹介した企業のように、自社のビジネスを異なる視点から見つめ直すことで、思いもよらない場所に新たな事業の種が眠っているかもしれません。あなたの会社ならではのレンタル事業を、一度考えてみてはいかがでしょうか。

    ※レンタルビジネスの始め方や市場動向については、今後『レンタルGO』の別記事でも詳しく解説していきます。

    この記事の監修者

    株式会社ミライガタリ代表取締役 上岡裕
    多数のレンタル事業者のECサイト構築を手がけ、業界に特化した豊富な実績を持つ。EC構築、アプリ構築の知見を土台に商工会議所等の相談員講師として活動し、多くの事業者のサポートを行う。事業のDX化による経営改善が得意領域。
    レンタル事業の社会的、経営的強さに魅せられEC構築サービス『レンタルGO』発案、開発。自身が代用を務める株式会社ミライガタリにてサービスを提供中。
    都城工業高等専門学校卒。1児の父。