
「在庫は資産であり、同時にリスクでもある」というのは、商品を扱うすべてのビジネスに共通する原則です。
経営の健全性を測る上で「在庫回転率」は非常に重要な指標ですが、商品が売れてなくなる「小売業」と、商品が戻ってくる「レンタル業」では、その捉え方や活用方法が大きく異なります。
この記事では、まず一般的な在庫回転率の基礎をおさらいした上で、レンタル事業特有の指標の読み解き方と、それに基づいた「仕入れ・廃棄」の最適な意思決定モデルについて解説します。
まずは基本から:一般的な小売業における「在庫回転率」
通常、小売業やEC物販における在庫回転率は、「一定期間内に在庫が何回入れ替わったか(売れたか)」を示します。計算式は以下の通りです。
在庫回転率 = 期間中の売上原価 ÷ 平均在庫金額
この数値が高ければ高いほど、「商品が仕入れから販売までスムーズに流れている(現金化が早い)」ことを意味し、優秀な経営状態と言えます。逆に数値が低いと、商品が倉庫に滞留しており、保管コストの増大や陳腐化のリスク(不良在庫化)を抱えていることになります。
小売業では「いかに早く在庫を現金に変えるか」が勝負ですが、レンタル事業ではこの前提が少し変化します。
レンタル事業における在庫回転率の特殊性
レンタル事業における商品は、一度貸し出しても(売却しない限り)手元に戻ってきます。そのため、在庫回転率は「在庫の入れ替わり」ではなく、「保有資産(レンタル商品)がどれだけ効率よく稼働し、収益を生み出したか」を表す「資産稼働率」に近い指標となります。
レンタルにおける計算式は、回数ベースで考えると以下のようになります。
在庫回転率 = 期間中の総貸出回数 ÷ 平均在庫数
レンタル事業では、在庫を「早くなくす」ことが目的ではなく、「寿命が尽きるまで何度貸し出せるか」が利益の源泉です。そのため、単に回転率が高ければ良いというわけではなく、メンテナンスコストや商品の寿命(耐久性)とのバランスを見極める高度な判断が求められます。
フェーズ1:最適な「仕入れ」の意思決定モデル
在庫回転率の定義を理解したところで、具体的な「仕入れ(在庫追加)」の判断基準について見ていきましょう。直感的な「品切れしそうだから」という理由だけで発注するのは危険です。
回転率の上限閾値を設定する
在庫回転率が極端に高い状態は、一見良いことに見えますが、実は「需要に対して在庫が足りておらず、多くの機会損失(お断り)が発生している」危険なサインでもあります。
例えば、「回転率が特定の回数を超えたら、在庫を10%追加する」というルールを設けます。これにより、顧客の需要を取りこぼすことなく、かつ過剰在庫にならないギリギリのラインを維持することができます。
投資回収期間(ROI)との兼ね合い
仕入れの意思決定には、その商品が「いつ元を取れるか」という視点も不可欠です。高回転の商品であっても、レンタル単価が安く、寿命が短いものであれば、追加仕入れのリスクは高まります。
利益構造や原価計算については、以下の記事で詳しく解説していますので、併せて参考にしてください。
【保存版】レンタル事業の利益率を5%改善する原価計算とコスト削減術
フェーズ2:利益を残すための「廃棄・売却」の意思決定
レンタル事業で最も難しいのが、「いつ商品を引退させるか」という出口戦略です。ここでも在庫回転率の変化が重要なシグナルとなります。
回転率低下のシグナルを見逃さない
新商品として導入した当初は高かった回転率も、時間の経過とともに徐々に低下していきます。重要なのは、「保管コストが収益を上回る前」、あるいは「中古市場での価値がなくなる前」に見切りをつけることです。
- 損益分岐点割れアラート:回転率が下がり、1商品あたりの月間売上が保管コスト(倉庫代+メンテナンス費)を下回った時点で、即座に廃棄または売却対象とします。
- 陳腐化前の売却:型落ちになるとレンタル需要は急減します。回転率が基準値を下回った段階で、まだ中古市場価値があるうちに「レンタルアップ品」として売却し、現金を回収します。
「そのまま購入」による出口戦略
廃棄コストをかけず、むしろ利益に変える最良の方法が、レンタル利用者に商品をそのまま販売してしまうことです。顧客が気に入った商品をその場で購入できる仕組みがあれば、事業者は在庫リスクを減らしながら、スムーズに商品を現金化できます。
この仕組みのメリットについては、以下の記事でも紹介しています。
メリット豊富!レンタル商品の「そのまま購入機能」について
データに基づく意思決定を支える「レンタルGO」
ここまで解説した意思決定モデルを実践するためには、日々の在庫状況と注文データを正確に把握できる環境が必要です。しかし、一般的なECシステムでは、レンタル特有の「貸出中」「返却待ち」「メンテナンス中」といったステータス管理が難しく、正確な回転率を算出するのが困難な場合があります。
そこで役立つのが、Shopify専用アプリ「レンタルGO」です。
在庫状況の可視化と販売へのスムーズな移行
レンタルGOを導入することで、Shopify上でレンタル事業に必要な在庫管理を一元化できます。
- 正確な在庫把握:カレンダー機能と連動し、いつ、どの商品が貸し出されるかを管理できます。
- 柔軟な出口戦略:レンタルとして運用していた商品を、Shopifyの物販機能を活用してスムーズに中古販売へ切り替える運用も可能です(※レンタル品と販売品は別商品として登録・管理します)。
- 購入オプションの提供:上位プランの「そのまま購入」機能を活用すれば、レンタル中の商品を顧客に販売し、在庫回転率の低下を防ぎつつ利益を確定させるフローを自動化できます。
在庫回転率という数値を味方につけ、感覚的な経営から脱却しましょう。レンタルGOは、そのための基盤となるシステムを提供します。
レンタルサイトの構築や運用に関するご相談は、ぜひ公式サイトをご覧ください。
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